二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒執事−knightmare Of a Devil− ( No.38 )
- 日時: 2010/07/27 18:30
- 名前: 泡沫 ゆあ (ID: h9T9UkU2)
第十三話;その執事、葬送
「っ、お嬢様、しっかりなさってください!!お嬢様ぁ!!!」
もう起き上がる力も残っていないのか、突っ伏したままセレスティは叫び続ける。
呼びかけられているフィオリアは、力無く視線をセレスティに向け、微笑む。
「・・・・・殺せたようだな、フィオ」
悲しみの宿った瞳で、シエルはフィオリアを見つめる。
焦点が定まらないフィオリアの瞳は、空高く昇った月に向けられている。
「・・・・・ふふ、伯爵は私を殺せはしなかった」
「・・・何?」
生気が抜けていく顔色をしているフィオリアは、シエルの反応を気にすることなく話し続ける。
「だって、私の魂は・・・・・<あの方>が・・・・・・」
そこまで言うと、フィオリアの体から光の粒のようなものが現れる。
「?!これは何だ、セバスチャン!!!!」
「・・・・これは・・・・」
そういっている間にも、フィオリアの体から光の粒は放たれ、彼女の体を覆っていく。
「・・・星は・・・私を選んだ・・・・闇が・・・選・・・んだのは・・・・」
眩い光がフィオリアを包みこみ、そして消えた。
「・・・・何がどうなっているんだ、セバスチャン」
シエルは戸惑いながらもセバスチャンに問う。
「それを私に仰るのは如何かと・・・・。セリーさんに聞いてみてはどうでしょうか」
セバスチャンがちろりとセレスティに視線をやる。
当の本人は、肩を震わせ泣いていた。
「・・・・あれは一体どういうことだ、セレスティ」
「、答える義理などない」
頑なに言い張ったセレスティだが、セバスチャンに図星をつかれる。
「『伯爵の申しつけにも応じるように』。と言われているのでしょう?お嬢様に」
「っ・・・・・・・・・・・・・」
少しの沈黙の後、絞り出すような声でセレスティは語る。
「一年前・・・・お嬢様と私が出会ったときには、お嬢様はもう、<亡き者>だった」
「?!死んでいただと?!ならさっきのフィオは・・・」
「正確に言えば、死んでも生きてもいなかった。魂と体が切り離されたのに、
魂がこの世を離れることが出来なかった・・・・だから、お嬢様は動くことが出来た。
・・・・・たとえ魂のない器でも」
まさか・・・・。と驚嘆の声を上げるシエル。
それを、わかっていたかのようにセバスチャンは微笑み見ていた。
「そんなお嬢様の元に、一人の男が現れた。全身を漆黒に纏った、不気味な男だ。
・・・・・そいつは言った、『生き返りたいのなら、現世に戻りたいのなら、
一千の魂を集めておいで。そうすれば、君はまた世界に戻れるよ』・・・・と。
お嬢様にはやり遂げなければならないことがあった、伯爵と同じように・・・だから」
そこまで話すと、涙で詰まって何も言えなくなるセレスティ。
セバスチャンは足をぺたんとつき泣いているセレスティの背中を、優しく撫でる。
「・・・・よく頑張っていましたね、偉いですよセリー」
また嫌がられるぞ。そう思っていたシエルだが。
撫でられたセレスティは瞳いっぱいに涙をため、ある言葉を叫びながらセバスチャンに抱きついたのだ。
「っ、セバス兄様・・・・・・・・・・!!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!???????????????はああああああああ?!!!??」
予想許容範囲内を超えた想定外の事態に、シエルは叫ぶしか出来なかった。