二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒執事−knightmare Of a Devil− ( No.42 )
- 日時: 2010/07/28 04:54
- 名前: 泡沫 ゆあ (ID: 7rIzYjoN)
第十五話;その執事、新規
その次の日の朝(セバスチャンとセレスティはずっと言い争いをしていたらしい)。
シエルは驚愕で頭が混乱しそうになっていた。
フィオリアに関してのことが、一切消えていたのだ。
紙面上は勿論のこと、人々の記憶からも。
エリザベスに聞けば。
「フィオ?一体誰なの?・・・・・・ああ!!!シエル、浮気したのね!!!!」
・・・・・・こんな調子である。
女王陛下でさえも、誰かわからないと言う。手紙についても覚えがないとみた。
「・・・・どういうことかわかるか?セバスチャン、セレスティ」
「いえ、私にはわかりません」
「・・・・・私にも、何が何やら・・・・」
同じようなことを言う二人に少し苛々するシエル。
・・・・・・・・そんな彼の元に、新たな苛立ちの原因がやって来るのだ。
「セバスちゃぁぁぁぁぁああんvvvv昨日ぶりvvv元気してたぁ?」
ガラスの無くなった窓から飛び込んでくるグレル。
そんなグレルに、セレスティは大声をあげてしまう。
「うわっ、変態!!!!!!!」
ピシッ。
空気に亀裂が入った。
硬直するグレルを他所に、シエルとセバスチャンは笑いを押し殺している。
「へ、変態ですってえぇぇぇ?!大体セバスちゃん!!!何よこの女!!!!
アタシというものがありながら!!!!!!!」
二股は御免よ?!と叫ぶグレルの言葉を信じたのか、セレスティは憐みの視線をセバスチャンに送る。
「・・・・うん、わかってるよセバス兄様。兄様は皆と違っていた・・・・・。
私は言わなくてもわかるよ、兄様」
爽やかな笑顔でとんでもないことを言い出すセレスティ。
『シスコンにはキツイな・・・・・・』
シエルはそう思い、セバスチャンを見ると。
・・・・・・号泣していた。
予想以上の出来事に、面白みよりも同情の方が勝ってしまう。
少し咳払いをし、シエルはグレルにあることを聞いた。
「フィオリア・シェリーヒューストンの魂を回収したのは、お前か?」
そう質問され、グレルははあ?と声をあげて答える。
「あの子の魂は誰も回収なんかしてないわヨ。初めからアソコに無かったんだもの」
その答えに、シエルはやはりな。と一人頷いた。
「・・・・おいセレスティ。フィオの魂はまだこの世に彷徨っているのか?」
「はい。お嬢様と私の契約は<完了>されていないので」
「・・・・と、いうことは、まだ裏で手をひいている<黒幕>は
フィオの魂を握っている可能性が高いということだな」
やれやれ・・・・とため息交じりに吐き出すシエル。
「・・・・・・救ってくださるのですか、お嬢様を」
「別にフィオのためというわけじゃないがな。・・・・あまりにも似すぎているんだ」
「・・・・・・・・」
僕と、フィオリアの境遇が。
「フィオの魂を握っている者が、僕の<仇>かもしれない。
ならその可能性に賭けてみようじゃないか。
・・・・そのためにも、お前には協力してもらうぞ?セレスティ」
「・・・イエス・マイロード・・・!」
感極まって、涙を浮かべるセレスティ。
お互いがお互いのためにお互いを利用する。
だが、その心に迷いはなかった。
「・・・・・・で、いつまで泣いているつもりだ!!!セバスチャン!!!!」
「セリーに誤解されってしまった・・・・・私はこれからどうすれば・・・!!!!
「あら、それならアタシが慰めてあげ・・・・・ぐへア!!!!!」
見事な右ストレートがグレルの頬に命中する。
「そうですか。では遠慮なく慰めてもらことにしましょう」
「ちょ、ちょっとセバスちゃ・・・・・・」
ぎぃやああああああぁぁぁぁぁああああぁああ!!!!!!
死神の断末魔が屋敷いっぱいに響いていったのであった。
「・・・?」
「どうしたんですだか?セレスティさん」
「あ、メイリンさん。何でもないですよ。ただ何かオカマの叫び声が聞こえた気がして・・・・」
気のせいじゃないが、気のせいにしたいセレスティであった。