二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒執事−knightmare Of a Devil− ( No.50 )
日時: 2010/08/05 22:13
名前: 泡沫 ゆあ (ID: h9T9UkU2)

第十六話;その執事、再来


「・・・・・・・・おい、セバスチャン」
「はい、何でしょう坊ちゃん」
清々しいほどの笑顔を見せるセバスチャンに、シエルは苛々を募らせる。
「僕の部屋がセレスティの写真だらけなのはどうしてだ!!!」
「坊ちゃんの部屋を愛らしく飾りつけしただけですよ?」
失礼ですね。と主に向かって失礼な言葉を向けるセバスチャン。
シエルの部屋は、右を見てもセレスティ。左を見てもセレスティ。上下も全てセレスティ。
・・・・初めてシエルの部屋を訪問する者が居たら、確実に誤解を招くだろう。
「失礼します、シエル様。アフタヌーンティーをご用意・・・・致し、ました・・・」
『誤解を招く奴が来た!!!!!!!!!!!』
シエルは猛烈に焦り、セレスティに必死に説明する。
「ご、誤解だ!!これは勝手にセバスチャンが・・・!!!」
「あ、大丈夫です。シエル様はそういう趣味をお持ちでないことは存じておりますので・・・・」
あ、意外に話のわかる奴だ。
シエルは心の底からそう思った。
「チッ」
「お前今主人に舌打ちしただろう」
滅相もございません。取り繕う笑顔が胡散臭いセバスチャン。
「・・・・シエル様の今の部屋を見ていると、お嬢様の部屋を思い出します」
「「え?」」
聞き捨てなら無いことをセレスティが言ったので、動きをぴたりと止める二人。
軽く笑みを浮かべながら、セレスティは続けた。
「お嬢様の部屋も、シエル様の写真で埋め尽くされておりました」
ゾワァツ!!!!!!!!!
軽くデジャヴを感じながらも鳥肌を立たせるシエル。
「シエル様のことは、お会いする以前から存じておりました。
 お嬢様がシエル様を気に掛けていましたから・・・・。
 <彼は私と同じだわ>。それがお嬢様の口癖だったのです」
今度は悲しそうに笑うから、シエルは少し苦い顔をした。
そのフィオリアを、セレスティから奪ったのは紛れも無い、自分なのだから。
「・・・・シエル様をお恨みしたことはございません。
 ましてや妬んだことも・・・。
 お嬢様を救ってくださる、とシエル様は仰って下さった・・・・。
 それだけで、私は十分幸せなのです」
久しぶりにマトモな常識人に出会えたことに感激したシエル。
セバスチャンは面白くないのか、そっぽを向いている。
「・・・・そういえば坊ちゃん。<あのお方>からお手紙が」
一瞬にして空気が冷たくなる。
「・・・・・・・出かける用意をしろ、セバスチャン、セレスティ」
二人の執事は、同時に返事をする。
「「イエス・マイロード」」
悪夢は再来する。それが必然であるように。
・・・・王<キング>の次なる対戦者は、果たして、誰なのだろうか。