二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒執事−knightmare Of a Devil− ( No.53 )
- 日時: 2010/08/11 00:39
- 名前: 泡沫 ゆあ (ID: h9T9UkU2)
第十七話;その執事、中華
「・・・・中国?」
シエルは忌々しそうにそう言った。
「はい、中国です」
それを楽しそうに見ているのはセバスチャン。
エンジェルスマイルのセバスチャンに、シエルはため息をつく。
「中国なら劉に話を付ける方が早いだろう、何故態々僕に・・・・」
「今回の標的は中国人だというのは御説明致しましたよね?
その方は現在、この英国にいらっしゃるとか。
流石の劉様でも、英国の中では手が出せないそうですよ」
ますます笑みが深く濃くなる。
「・・・・お前、楽しんでるだろう」
「まさか。主が苦悩していらっしゃる・・・・これ程愉快・・・・おっと。
煩わしいことはございません」
本音が出たぞ。
そんな会話を耳にしたセレスティが、紅茶を持ってきながら話す。
「今回の標的・・・・とは、一体誰なのですか?」
シエルとセバスチャンは一度静止し、それからすぐに話し出した。
「そうだな、お前にも言っておくか。・・・・もう無関係ではないからな」
そう言って、手元の書類をセレスティに手渡しながら話を始めた。
「標的は中国マフィアのボス、王 狼月だ。
金のためなら何でもやる・・・・下品な奴だ」
「・・・・顔もかなり下品ですね」
写真の狼月は、40歳前半でどこか厭らしい感じが見て取れた。
「狼月は今人身売買をしているらしい。女子供を主とした、な。
それを陛下は憂いていらっしゃる。
・・・・・・憂いを晴らすのは、僕の仕事だからな。
潜入捜査をすることになったのだが・・・・・・・・」
シエルが青白い顔をしたのがわかった。
「シエル様?どうなさいました?」
「・・・・・僕、が行かなくてはいけないんだ」
どよん。と暗いオーラを吐き出すシエルに、セレスティは驚いた。
「仕方がありませんよ、坊ちゃん。適役が坊ちゃんただ一人なのですから」
セバスチャンは楽しんでいた。確実に。
でなければここまで楽しそうな笑顔など出せないだろう。
「・・・・私がやりましょうか?」
ピタリ。と全員の動きが止まった。
「女子供、が主なんですよね?なら私がやった方が都合が良いのではないでしょうか。
人間よりも頑丈に出来ていますし・・・・・・・」
セレスティは薄く笑いながら言う。
シエルから見れば、それこそエンジェルスマイルだった。
まさに地獄に垂れ込んできた蜘蛛の糸。
「じゃあやってくれ「駄目です」」
勿論。そう易々と見逃すわけが無い奴もいて。
「駄目です。いけません。有り得ません。許しません。
セレスティにそんなことをさせるわけにはいきません」
「・・・そんなことを僕にさせようとしていたのはお前だろう(汗)」
「兄様、シエル様を困らせてはいけないだろう!
・・・・・・・・・・物分りの悪い兄様は嫌いだ!!!」
セバスチャンの心にひびが入った。
「・・・・・扱い方を心得たようだな」
シエルは放心状態のセバスチャンを見ながらセレスティに言う。
「・・・長い間兄妹やってますので」
苦笑い気味に言うセレスティ。
「・・・・・じゃあ、頼まれてくれるか?」
「イエス・マイロード」
新たな事件の、幕開けだ。