二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒執事−knightmare Of a Devil− ( No.58 )
日時: 2010/09/05 09:55
名前: 泡沫 ゆあ (ID: 7rIzYjoN)

第十九話;その執事、奇妙


狼月に連れ出され、会場から離れた豪邸にやってきた。
奴の話によればここは、狼月の本邸らしい。
「さあさあ今宵は無礼講!!!どんどん飲んでくれたまえ」
「ありがとうございます」
ワイングラスに並々と注がれた赤ワインを手に、視線を狼月に巡らせていた。
緑を主としていて、所々が金の刺繍で飾られている中華服。
顔は脂ぎっていて、皺も多い。
声もガラガラに掠れていて、醜いを通り越していっそ哀れな気もする。
『少し肥えた中年男性・・・・・と言ったところか』
そう決め込もうとした。が。
『だが・・・・・何か違和感を感じる』
セレスティは、狼月に会ったときから少しの違和感を感じていた。
独り身の中年男性にしては清潔感に富んだ身なり。
体系の割に細い指。
そして、ガラガラ声の奇妙な不協和音。
『何か、何かがおかしい・・・・・・』
狼月がワインを飲み始めたので、セレスティも慌てて飲み始める。
「いかがかな?私の特別スペシャルは?」
「?・・・・ええ。とても素晴らし・・・い・・っ・・・」
スペシャルという言葉に疑問を抱きながら、同意を示そうとしたが・・・。
『・・・思考が・・・っ纏まら・・・なぃ・・・・・・』
座っていた椅子から崩れ落ちるセレスティ。
それを楽しそうに、狼月は見ていた。
「っ・・・・・・・・・・」
「素晴らしい?当然だろう。何故なら・・・・・」
椅子から立ち上がり、セレスティに近付く。
「何故ならそれは、中国から取り寄せた強力な睡眠薬入りのワインなんだから」
セレスティが最後に聞いたのは、聞き心地がよいアルトのような声だった。