二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒執事−knightmare Of a Devil− ( No.8 )
日時: 2010/07/22 23:48
名前: 泡沫 ゆあ (ID: h9T9UkU2)

第三話;その執事、険悪


「お待ちしておりましたわ、ファントムハイヴ伯爵。さ、どうぞ中へ」
実年齢よりも幼く見える少女は、横に一歩引き屋敷の中へとシエルを促す。
「・・・・坊ちゃん」
「!・・・あぁ。失礼させていただこうか」
セバスチャンに声を掛けられハッとしたシエルは、直ぐにいつもの冷静さを取り戻す。
その様子を見ていた少女、フィオリアはクスクスと笑っている。
「そんなに緊張なさらないで。私のことはどうか<フィオ>とお呼びくださいな」
フィオリアは優しげに目を細めると、シエルの手を引き屋敷へと足を踏み入れる。
「さ、どうぞ?」
フィオリアの勢いに押されながらも、シエルは躓かないように歩きだす。
その後ろで、フィオリアを冷たく見つめるセバスチャンが居ることに気付かずに・・・・。



「お待ちしておりました、シエル様」
通されたリビングに待っていたのは、見目麗しい女執事だった。
鴉の濡羽ぬれば色の長い髪を、高い位置で一括りにしていて。
どこまでも深く、甘い色をした真紅の瞳を持った執事。
「ご紹介しますわ。我が屋敷の執事、セレスティ・シエッタです。
 一年前から仕えてくれているのですけど、とても優秀なの」
ね?とフィオリアが微笑みかけると、セレスティはそんな事は・・・。と首を振った。
「伯爵、セレスティのことは<セリー>とお呼びください。
 セレスティには伯爵の申しつけにも応じるように言ってありますの。
 ・・・・セバスチャンも、どうかそう呼んであげてね?」
フィオリアがそう言うと、セバスチャンはくすり、と唇を弧に描き笑った。
「では、お言葉に甘えて・・・・どうぞよろしくお願いします、<セリー>さん」
セバスチャンが清々しい笑顔でそう言う反面、セレスティは眉間に皺を寄せていた。
「・・・・・・」
「・・・・・・・?」
そんな様子をおかしく思ったシエルは、少し眉を寄せる。
「・・・・セレスティ」
フィオリアがセレスティの手を握る。
「、よろしく、お願いします・・・・・・セバスチャン殿」
嫌々そうにセバスチャンに頭を下げるセレスティ。
シエルはただならぬ空気にゾッとした。
「ふふ。もうすっかり仲良しになったのね!!」
『?!どこをどう見たらそうなるんだ!?』
心の中で突っ込みながらも、シエルは二人の執事の険悪なムードを見守っていた。