二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒執事−knightmare Of a Devil− ( No.85 )
日時: 2010/12/30 20:02
名前: キリン (ID: ucEvqIip)

第二八話;その執事、上陸


「ここが日本・・・・・・・」

シエルは物珍しそうに辺りを見渡す。
英国では見たことがないようなものがあるのだから、
当然と言えば当然なのだが。

「坊ちゃん、そのように挙動不審でいらっしゃいますと品がないかと・・・」
「・・・・確かに、そうだが・・・・・・なあセバスチャン」
「はい?」
「あそこの奴にも同じこと言ってやったらどうだ」


シエルの指さす方には、目を輝かせて辺りを見渡すセレスティが居た。


『あのガラスのコップ何だろう・・・・ぁあ!!あの黒髪の人形も!!』


心の声が聞こえてくるのでは。と思うほどのはしゃぎっぷりである。

「あのように可愛らしいセレスティが、品がないわけないではありませんか坊ちゃん」
「・・・お前シスコンに拍車がかかってないか?」
「悪魔のシスコン、キモい。ウザい」

シエルとハニーが毒づくが、セバスチャンは無視だ。

「で、例の人間だが、名前くらいは教えてくれるんだろうな」
「・・・・・・チッ・・・」


おい、今舌打ちしたぞ。
よっぽど私たちに助けてもらうのが嫌なんでしょうね。


「名前は魚宮 誠一郎(うおみや せいいちろう)。この辺りの地主の息子。
 地主が横暴な税をかけたりするのを防いだり、貧しい人間に食料を分けてあげたりしてる、俗に言う<良い人>。
 ・・・本題だけど、ここ最近この地にやってくる武士や貴族が変死しているの。
 しかもどの死体も、水の中から発見される。
 ・・・・・・・そして、その死体は生前全員誠一郎と会ってることが分かったの・・・・・。
 誠一郎は間違いなく何らかの<力>をもっている。
 その<力>は私たちにはすごく厄介。だから、すごくすごくすごく嫌だけど、貴方達にお願いする」

「大方は分かった。とりあえずはその魚宮 誠一郎に会わないと・・・・っわ!!」

いきなり道角から出てきた人物に、シエルはぶつかった。

「坊ちゃん、大丈夫ですか?」
「シエル様!!」
「・・・・・大丈夫?ちび・・・・・・クスッ」

一人嫌な奴が混ざったな。

「僕は大丈夫だ、それよりも・・・・」


ぶつかってきた相手は女性だった。
歳は15,6だろうか。


「ぁいたたた・・・・・っあ、も、申し訳ありません、異人様!!」

女性はいきなり正座をして、頭を地面につけて謝り始めた。
その光景にシエルは慌てるばかりである。


「いや、べ、別にいいんだ。それよりも魚宮 誠一郎という男を知っているか?」
「せ、誠一郎様でございますか?勿論です!私は魚宮様の屋敷の侍女ですから」
『侍女・・・・?』
家女メイドのことでございます、坊ちゃん』
「その魚宮 誠一郎に話がある。連れて行ってもらえないだろうか」
「は、はい!わかりました、御案内させていただきます」
「ありがとう。僕はシエル・ファントムハイヴだ。君は?」
「私ですか?私は・・・・・」


水姫みずきと申します」



悲劇の幕は、上がった。