二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【3Z】死に損なった少女。 ( No.34 )
日時: 2010/07/25 22:38
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: .pwG6i3H)

▼die.08 ─────────────


「……行くぞ」
「うん」

目の前に聳え立つのは、我等が高校、銀魂高校だ。
此の高校は特に大規模でも、かと言って小さいと言う訳でも無い。
クラス数も平均的な方だろう。Z組がある為どれ程のマンモス校なのかと思われがちだ。
けれど、只単にZ組は問題児の集まりな為に隔離されているだけなのだ。
問題児の集まりとされているZ組は、其の言葉通りひどい。
普通に人を殴ったりしている人もいるし、早弁やら居眠りはしょっちゅう。
担任も何処かやる気が無いのだから、救いようが無い。


「じゃあ、理事長に言いに行くか。あの人は見た目はアレだが、話聞いてくれんだろ」
「うん、そうだね」

しかし、救いようが無いかもしれないが、人情は人一倍あると思う。
普段は憎まれ口の叩きあいのような滅茶苦茶な人達だが、根は優しい。
困った事があったら自分の事など放ってまで助けてくれる。
どれほど頭が悪くとも、どれほどやる事を注意されても、彼らの人情深さは、何処よりも負けないだろう。

そんな訳で自分達は、其のZ組の数少ない理解者である理事長室へ向かっている。
理事長はお登勢と言う、土方が言った通り見た目は恐ろしいが、言う事をきちんと理解してくれる良き人だ。

何故お登勢に会いに行くか、其れは教室にいても良い許可を得る為だ。
ご覧の通り、自分は今5歳位の少女。いくら中身は日向だと言い張っても、信じてもらえないだろう。
しかし、其れでもあの教室は自分が通っていた教室だ。自分だってあの場にいたい。
例えクラスメートが自分だと気付かずとも、同じ空気を吸って、同じ空間にいたい。

そう土方に頼み込んでみた処、其れならばお登勢に頼みに行こうと言う事になったのだ。
其の為今は、3Zから割と遠い場所にある理事長室へと向かい歩いていた。

「あっれー?? 大串君、何小さい子連れて来てるの?? 君の子供??」
「ンな訳ねーだろォォォ!!」

歩いていた時だ、何処からかぺたぺたとサンダルを履き歩く音が聞こえて来たのは。
後方から其の音が聞こえたかと思えば、其の軽快な音が止まると同時に聞こえた聞き慣れた覇気の無い声。
振り向けば其処にいたのは、我等の担任坂田銀八。
何時ものように口にキャンディーを銜え、だらしなく白衣を着こなし土方を貶す言葉をかけて来た。
土方の子供では無いと反論すれば、「駄目だろー、小さい子拐って来たら」などと又とぼけた事を言う。
勿論何時もの取っ組み合いが始まり、土方は怒りを、銀八はふざけた笑みを露にしていた。

「で、何でそんなちっさい子連れて来たの??」
「いや、此れには訳があって、ちょっと教室にいさせて良いか理事長に聞きに行こうとしたんだよ」
「ふーん。良いよ別に」
「は??」
「お人好しのババァの事だから、絶対駄目とか言わねーだろ。
どのみち許可されるんだ、言わなくても構わねーよ」

土方がお登勢の処に行き自分を教室にいても良いよう了承を得る前に、あっさりと銀八から了承が出てた。
拍子抜けも良い処なため、自分も土方も目を丸くする。
銀八が言うには、言わなくともお登勢はオッケーをするとの事。
ならば態々理事長室に行くと言う面倒な事をせずとも、教室に勝手にいさせて構わないと言う。
本当に良いのかと再度問えば、騒いだり走り回ったりさえしなければ良いと簡単に言ってのけた。
寧ろ高校生であるZ組メンバーの方がハチャメチャなので(取っ組み合いの喧嘩をしたり居眠りをしたり早弁をしたり)、自分の方がまともだろうと断言していた。

────確かに、と密かに思ってしまった。

「っつー訳だから教室入れ。もうすぐSHRだしな」
「おう。行くぞ、チビ」
「……うん」

小さく頷き土方と共に歩けば、銀八が「可愛いな〜」と言い頭を撫でて来た。
彼はロリコンらしい。

銀八・土方・自分の順でガラリと教室の扉を開け中に入る。
直ぐに銀八が「席につけー」と言ったものの、三人とも同じタイミングで教室に入った為、皆の視線は見慣れた担任でもキラスメートでもなく自分へと一点に集中してしまう。
今ナンカ、転校初日ノ気分ダ。

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