二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【3Z】死に損なった少女。 ( No.40 )
- 日時: 2010/07/27 11:56
- 名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: KUO6N0SI)
▼die.10 ─────────────
「シンユウ」にも、様々なタイプがあると言う事を、高校に上がってから初めて知った。
新友────其れは新しく出来た友。
親友────其れは親しくなり互いが互いを認めあう友。
心友────其れは心から信頼している、唯一無二の存在。
恐らく最初と最後は女子高生が作り上げた造語なのでは無いかと思う。
けれど、此のように「しんゆう」と言う言葉一つで様々な意味合いを持つ事を知った。
女子高生はある意味素晴らしいと思う。
其の中で自分と神楽は後者の「心友」
困った時は助け合うし、何かあったら顔を見ただけもしくは声を聞いただけでわかる。
言い争いや喧嘩だってする。
しかし其れは互いを深めあう為でもあるし、互いに信頼しあっているからこそ何でも言い合えるのだ。
気付けば、彼女無しの生活なんて考えられなくなっていたのだ。
彼女がいるから自分がいる、又彼女もそうであると思う。
────唯一無二、まさに其れなのだ。
其の彼女と幼い少女の姿で再会する事が出来た。
最初は互いに泣いていたが、落ち着いた処でぐちゃぐちゃな笑顔を見せあった。
「私達、不細工だね」
「でも、綺麗な顔で眠る日向と比べたら、不細工な顔で生きる日向の方が良いネ」
神楽がそう言ってのけるものだから、自分は再び泣いてしまった。
神楽に抱きつき、わんわんと大声で。神楽は優しく背中をさすっていてくれた。
涙は枯れる事って無いのかもしれないと、そう考える余裕が出来て来た時に漸く涙が止まり始めた。
ぐすぐすと鼻は鳴る為、きっと目も鼻も真っ赤だろうなと思う。
そして、神楽が優しい笑みを浮かべながら本題へと入った。
「其れで、日向は何で其の姿アルか??」
「判らないんだ、あたしも。此の前歩いて帰って、事故に遭って。気付けば暗闇の中にいて。
手も足も感覚の無い処にいた筈なのに、気付いたら、此の姿になってた」
何故、そう聞かれた訳だが自分が一番謎だ。
自分は事故に遭って死んだ筈の人間。其れははっきり断言出来る。
現に自分の葬式が行われたし、其の為心友の神楽は悲しみのどん底にいたのだから。
其れなのに何故か、自分は生きている。
脳が動いているから考える事が出来て、目を使い目前の物を見る事が出来る。
耳を使い聞く事も、鼻を使い臭いを嗅ぐ事だって出来る。口も手も足も、全てある、五体満足状態。
其れだけでも不思議なのにもっと判らないのは、其の身体は自分で無く知らない少女のものだと言う事だ。
生まれ変わりな訳が無い、言わば体を借りているような、そんな状態。
其れならば——──此の身体の持ち主は、何処にいるのか。
「!! 痛っ!!」
「!? 日向、如何したアルか!?」
「痛っ、痛い、いたい、よっ!!」
「日向!!」
突然、何の前触れも無く激しい頭痛が襲って来た。今まで体験した事の無いような痛みだ。
例えるのが難しい。
キィンと頭で嫌に高い音が響いていて、ガンガンと鈍器で殴られるような痛みがあれば、鋭い針でグサグサと何度も刺されるような痛み、そして素手で脳みそを力強く握られているような痛み。
様々な痛みが頭を襲う。
痛い、痛すぎる。周りの景色が見えないし、脂汗でびっしょりだ。
神楽の姿は見えないし、声も聞こえない。
痛みが治まったと思った時には、真っ暗な闇の中にいて、意識を手放したのだと気づいたのは後からだった。
—————————──
「……あれ??」
ふと意識と言うものを取り戻し瞳を開ける。
そして視界に広がる景色は、何故か学校の屋上では無く人通りの少ない道。
右側に民家があるが、其の数も少なくポツリポツリと少しあるだけだ。左側は少し広い川が流れている。
其の道をゆっくり歩くのは自分自身なのだが、目線は低く自分の意志に反して勝手に歩いている。
雨が強く降っている為、傘をさしゆっくりと、足が勝手に動いている。
つまり此れは、夢なのだろう。
────って言うか、何処かで見た事あるかも。
うろ覚えではあるが、此の光景を何処かで見た事があるような気がする。
此の道は幼い頃に通ったような気がしてならない。
そう考えていた時、突如として瞳から涙が溢れた。
何だろうと思いながらも、又此の身体は勝手に腕を動かし涙を拭って歩いている。
ぐすぐすと、頼りなく鼻も鳴らしている。
────……そうだ、確か喧嘩したんだ、お父さんと。
何故泣いていたのだろう、何が悲しかったのだろうと頭を捻らせ、漸く思い出す事が出来た。
────そうだ、確か自分は幼い頃父親と喧嘩をしたのだ。
日曜日に遊園地に連れて行ってくれると約束をしていたのに、仕事が入り行けなくなったと言った父親に、一方的に「嘘つき!!」と叫び家を飛び出した。
約束を破られた事に腹がたち宛もなく家を飛び出した。
後ろを何度か確認し、心配して追って来ないかと少し期待しながら走ったと言うのに、追って来る様子は無かった。
其れが悲しくて悲しくて、泣きながら只歩いていた、そんな記憶がある。
ジャア、此レハ。アタシノ過去??
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