二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】僕の世界が壊れた。 ( No.160 )
日時: 2010/08/16 12:24
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: GrJKliyZ)

          ◆永遠的閉鎖空間


─時が移ろう中で、様々なものが変わってゆく。
世の動きも、思想も。此の攘夷浪士達さえも。
其れでも何もかもが変わってしまうわけじゃない。
時代の移り変わりと共に変わるものもあれば、変わらないものもある。
そして彼女は……変わらないものをこそ、信じている────。


「銀、戦争が終わったら着いて行ってもいい??」
「また其れかよ。良いっつってんだろ」
「絶対約束だからね。自由な銀を見てるのはとても楽しいから」
「へーへー」

「ねえ、どんな仕事する気なの?」
「んな事ぁわかんねーだろ」
「きっと人を助ける仕事をすると思う。ほら、何でも屋」
「……お前がやりたいだけだろ」
「あ、ばれた??」


そんな会話を一日一回、忘れないようにしている。彼女はきっと忘れない、彼も忘れない。
でも守れないかもしれない。形あるものは壊れるとか聞くけど、形ないものだって脆いもの。
約束が果たせるようにする為の、気休めの呪文。
彼女の支えの一つ────約束。
此れがあるから絶対に死んではいけない、其の思いが彼女を強くする。
仲間の存在と、彼との約束が彼女を生かしていた。


「あ、でも出来れば“あの子”も一緒に連れて行きたいな」
「はぁ?? “あの子”??」
「私の大切な子よ。私と良く似て可愛いの。……私がアンタを支えたように、あの子の事支えて上げて」


此の世代で不謹慎かもしれないが、彼女は今が幸せだった。
敵同士ではあったが、共に闘ってきた高杉と桂が居て、銀時、辰馬も居て。
血に塗れているけれど、彼等と笑って共に過ごす此の時間が幸せだった。
其れが彼女の自由だから。自由が好きな彼女。

────ううん、正確には「自由に生きている人を見る事」が好き。

だって面白いから。楽しいから。
自由に生きている人は、周りに捕らわれず我が道を行く人。
自分勝手とはちょっと違うけど。
だから約束をした。もう、大切なモノを失わないように。


「此れも約束よ。絶対だからね」
「わぁったよ。で、ソイツの名前は??」


大切なモノを失う為に闘うんじゃない。
大切なモノを護る為に、闘うんだ。
だけど、其の護りたいモノを、幾度となく取り零してしまった。
だから、今度こそ、何があっても護り抜く。
────そう、誓った。


(其の子の名は、魅兎)
此れが彼女と交わした最後の時間。