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一年目　ミルラの雫を求めて

　　一話　我が村に別れを告げ

　旅立ちの日——。今日、俺は旅立つ。
育ちの場所、サーモ村を。

「危なくなったら戻っておいで！　死んだら元も子もないからね……」

糸目で、ピエロの様な顔をした俺の育ての親、ファグナーラは、2500ギルとフェニックスの尾を俺に渡し、歩いて行く俺の背中を押す。
　ファグナーラさんのお節介も、しばらくは聞けないとなると、やはり寂しいものだ。

「一年後——絶対に戻ってきます！」

村に別れを告げ、相棒（モーグリ）のマズルと共に歩いてゆく。

——俺の旅が、今始まる。



　街道を歩いていると、クラヴァットの集団とであった。
どうやら彼らは、フィオーレ大陸のキャラバンのようだ。ケージに『紋章』をつけているので、人目でわかった。
俺が「順調か？」と声をかけると、金髪の少女が、「あと二箇所よ！」と、元気に返してきた。
それにあわせて、空を飛ぶ猫（モーグリの代わりらしい）が、

「あい！」

と喋ったものだから、俺は思わず噴出してしまった。