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第３３話

合奏が終わると月空中のみんなはそれぞれの部屋に行った。
でも月城は部屋に行かず、食器の片付けをしていた。
円（やっぱり月城はすごいな！絵もうまいのに楽器もうまいなんて！
氷（すごくなんかにですよ。
秋（すごいですよ！！
秋は大きな声を出した。
鬼瓦（それより氷歌。
氷（何？
鬼瓦（いい加減仕事をしてくれ。
鬼瓦はそう言いながらカバンからさっきのハンカチを出した。
氷歌は片付けを終え、キッチンに来た。
氷（貸して。
氷歌はさっきとは違う声でそう言った。
真面目な、少し怖いような声だった。
鬼瓦はハンカチを氷歌に手渡す。
氷歌は何も言わずハンカチを受け取ると、左手に左手にハンカチを広げて置き、右手で軽くハンカチに触れた。
そして目を瞑り、集中した顔になる。
円堂たちは声を出さなかった。
出せなかったのだ。
部屋には緊張が走っていた。

少しすると氷歌は右手を離し、目を開けた。
氷（……これ、どの事件のだっけ。
鬼瓦（この前の失踪事件のだ。
氷（……あれか。
氷歌は少し悲しそうな顔になった。
鬼瓦（どうした。
氷（連れ去られたみたいね。被害者は。
氷歌は淡々と言った。でも少し悲しそうな顔で。
鬼瓦（誰にだ。どんな目的でだ。
鬼瓦はコートのポケットから警察手帳を取り出すとそれを開き、同じポケットに入っていたペンを持った。
氷（身代金目的ね。要求はまだ見たいだけど。犯人は男。３人組。目だし帽かぶってて顔は分からない。
氷歌はハンカチにもう一度触れながら言った。


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時間なくなった……