二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 未来を知る少女 【オリキャラ募集中!】 ( No.428 )
日時: 2010/12/28 09:58
名前: カエル ◆tr.t4dJfuU (ID: e/CUjWVK)

更新!
鬼道視点です!

第35話

気になって眠れない。
どうしたらパスが来るところが分かるのか。
俺は同じチームだからある程度ならパスの来るところが分かる。
でも月城は違うチームのパスの来るところが分かってる。
しかも考えられたショーメーションで間違いなくそのパスをカットしてる。
どうしてそんなことができるのか。
それが気になって眠れない。
「……考えて分かるわけではないがな。」

気分転換に外に出ようと思い、部屋を出た。
すると明かりがついている部屋があった。
「こんな時間に……」
あの部屋は絵の飾ってあったところの近く……
確か……
月城の部屋。
起きているのか?
月城なら起きていそうだな。
そう思って部屋に近づいていく。
ノックをしようとしたその時。
「何か用ですか?鬼道さん。」
と部屋の中から声がした。
月城の声だ。
「なぜ俺だと分かった。」
淡々と聞いてみる。
ここで動揺したら何か負けたような気になる。
そんな気がした。
「なんとなく、ですね。入ってください。」
月城も淡々とした声で言った。
そう言われて部屋に入ると、そこにあったのは俺たちが使わせてもらっている部屋とは違う部屋だった。
というか部屋というよりは画家のアトリエだ。
部屋にはたくさんの机、それとたくさんのキャンパス、絵具があった。
月城は椅子に座り、キャンパスたてにかけてあるキャンパスに絵具を塗っていた。

「で、何か用ですか?」
目線をキャンパスに向けたまま月城がそう聞く。
「いや、別に。眠れなかっただけだ。」
「そうですか。」
また淡々とした声。
「ここは?」
気になって聞いてみる。
「アトリエ。と言ったらいいですかね。言うなれば私の仕事場です。」
目線を動かさず、月城が言う。
「……そうか……」
そう言いながら部屋を見渡してみる。すると壁に廊下のようにたくさんの作品が飾られていた。
全部見たことのない絵だ。
「……これは全部新しい絵か?」
「そうですよ。今度の個展に出すやつです。」
月城が初めてこっちに目を向けた。
「次の個展……」
そう言えば父さんが前帰った時に言っていたな……
「もうすぐまた個展があるんだ。」
って……
「俺は行けそうもないな。」
行きたかったんだがな。
「お父さんは来られるんですか?」
月城が嬉しそうに聞く。
「あぁ。多分な。楽しみにしていたし。」
「そうですか。」
ニコッと月城が笑う。
「……作り笑いだな。」
「……え?」
月城が驚いた顔になる。
「作り笑い。違うか?」
そんな気がしていた。やっぱりそうだ。
「……」
月城が黙りこむ。
「無理して笑う笑い方。ずっとそう思っていた。」
「……いつから?」
「初めて笑ったのを見たときから。」
「ハハッ、そうですか、ばれてましたか。」
これは作り笑いじゃないな。ホントに面白く思っている。
そんな笑い方だ。
「月空中の皆にもばれたことなかったのに、さすが天才ゲームメイカーですね。鋭い。」
これも作り笑いじゃないな。
「どうして無理をして笑うんだ。」
「……そうですねぇ……理由を言うなら……」
間が開く。月城が考え込む。そして
「笑った方がいいと思うから。」
とまた淡々と言った。