二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

ポケモン二次創作 【金ノ瞳、銀ノ翼】 ( No.127 )
日時: 2010/10/09 22:10
名前: 豆電球 ◆Y6CWE4r6bA (ID: sp0cIx.0)

第四十二章 〜仕事〜

ポケモンリーグ、一般の者が出入りを禁止されている部屋。
クレイ「いいか、チャンピオンってのは強いだけじゃ駄目なんだ。人の上に立つ自覚ってもんが重要なんだぞ。そのためにはな〜・・・」
リオン「クレイさんに言われても、何にも為になら無い気がします!ワタルさん呼んで下さい!」
クレイ「うわ!酷い!本当にもう!俺が特別にティーチしてるのにぃ!!」
リオン「だって、本当の事ですよ。実績が無さ過ぎるんですもん。」
新チャンピオンとなったリオンは、きちんとした後釜になるべく、前チャンピオンのクレイに色々と教えて貰っているのである。
リオン「あ、それと、ここはこうの方がいいのでは無いですか?」
クレイ「お!そうかも!よく気がついたな!流石オレを倒したトレーナーだけあるな!」
勿論、教わった事は自分の代で変更する事も可能だ。その為に、今出来る限り情報を集めているのだ。
リオン「あと〜、四天王のこの仕組みなんですけど・・・」
そんな新チャンピオンをじっと見つめる、知り合いが一人。
彼は、リオンの幼馴染であるサトル。
サトル「あ、リオ・・・」
リオン「クレイさん、このバトル形式の場合は、このルールでは矛盾していると思うのですが・・・」
クレイ「そうだな。よし、ここも変更箇所だな。」
サトル「あー・・・」
こうなるのは仕方の無い事である。チャンピオンに勝利したというのなら別だが、自分は今は新チャンピオンの付き添いという立場だ。
仕事の引継ぎなど、やるべき事が山ほどある彼女の邪魔は出来ない。
しかし、懲りずにもう一度アタックしてみる。
サトル「なあ、すこ・・・」
リオン「ああ、イツキさん。丁度良かった。協会から連絡はきていますか?内容は・・・」
また失敗だ。もう諦めて大人しくしているのが正しいのかもしれない。
カリン「あ、リオンちゃん。私に用って何?」
リオン「はい。この文献の内容を詳しく教えて欲しくて・・・」
サトル「・・・。」
彼女が話しかけなくとも、話しかける者は少なくない。それは四天王であり、または協会の者である。
この間までは、自分と同じ普通の子どもだったのに、実力の差が現れたここ数ヶ月で、彼女の周りはがらりと変化した。
自分を除けば・・・
サトル「リオン!!」
つい先程まで、リオンの身の回りに居た者、そして当人が驚き、声の主を探す。
リオン「・・・サトルか。何なのよ。私忙しいのに。」
一番言われて困る言葉を言われて、固まってしまう。
しかし、やっと彼女に見てもらえたという事で、彼の心は少し満足したようだ。
サトル「あー・・・少し休んだ方がいいんじゃないか?張り詰めすぎだろう。」
この優しい心遣い(と自分で思い込んでいる)も空しく。
リオン「外に出たかったら、そこのエレベーターを使って。私はあと三時間は出られそうに無いから。」
あっさり切り捨てられた。
サトル「違う!俺は・・・」
リオン「シバさん!良かった!確かめたい事がありまして。格闘タイプのポケモンの・・・」
結局、ここに居ても何も出来ない事を悟り泣く泣く退散する事にした。
しかし、少しは悪あがきをしようではないか。
サトル「リオン!少しは休憩しろよな!俺、外に居るからな〜!!」
リオン「うっさい!さっさと行きなさい!」
最後には、物凄い剣幕で追い返された・・・カリンさんが妙な笑いをしていたのは、俺の気のせいなんだろうな・・・

リーグ玄関前。
サトル「ったく・・・チャンピオンになったら、俺は足手まといかよ・・・」
いや、ずっと前からじゃないか。
心のどかからか、聴こえてきた自分の声。慌てて頭を振る。
サトル「やっぱり、あいつは俺と違うんだな・・・」
幼い頃、近所の友達と遊んでいた時にたまたま彼女を見つけた。
今と変わらない声、長い髪、金の瞳・・・しかし、彼女を取り巻く情勢は歳を重ねるたびに変化した。
最初は、いつも一人で居たのに気がつけば、ポケモン達と友達になっていた。
旅立ちの日も、自分が追いかけなければ何処か知らないところに行ってしまうのではないかと思うぐらいだった。
サトル「あいつは何も気がついていないけど、きっと、今のリオンを倒せるのは誰もいねーんだよな。」
自分の故郷とは違う、風が吹く。
故郷の風は、旅立つ者に勇気を与える物だが、ここの風は逆に緊張感を与える物だ。
きっと、リオンもここで緊張を感じていたに違いない。
そう思うことで、少しでも自分に近い事を祈る毎日である。

リオン「サトル?あ、ここにいたんだ。」
三時間半後、ようやく出てきたリオンは少し疲れて居るようだ。まだ、俺と同い年の子どもなのに・・・
サトル「なあ、お前いつも無理するよな。あんまり体も強く無いっていうのに。」
リオン「何言ってるのよ。今しないといけない事が山ほどあるんだから。仕方ないでしょ。」
サトル「・・・」
リオン「ほら、もう暗くなって来たし帰ろ?」
ほら、と差し出された手は俺のよりずっと小さな手だ。これから、暫くはこの手で、リーグを引っ張っていく事になるのだ。
サトル「ああ。その前に、一つ約束してくれ。頼むから今までのように無茶は絶対にするな。」
リオン「?いきなり何なの?」
呆れたような顔で返されたが、構うもんか。俺はこれからもこの小さな手を守るんだ。
そう決心して、手を握った。隣から、ころころと笑う音がしてそっと握り返された。
今なら俺、死んでもいい。


次回へ続く


途中で、投稿してしまいました。ホントすみません。
中途半端な内容を!!