二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: [銀魂] No thank you!! [男主トリップ] ( No.23 )
- 日時: 2010/08/13 19:19
- 名前: 廻 ◆E2FCewEIt. (ID: mXej9PvR)
- 参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?482369
第三訓:ゴリラさん、アンタ、なんていい人なんだろう。
……非常に気まずい。
何故かって?
今俺は真選組屯所内、取調室にいる。
そして俺の目の前には
瞳孔の開いた副長さん、土方 十四郎と
真っ黒な笑みを浮かべたままの沖田 総悟がいた。
……その瞳孔の開いた目でこちらを見ないでください。
痛いです。
視線がとても痛いです。
お互い一言も話さないまま時間だけが刻々と進む。
「おい」
「はいぃぃ!!」
いきなり声を出した土方さんに俺は思わず悲鳴に近い返事を返した。
「……その格好、ここらじゃ見かけねぇ。お前、どこの者だ」
あー中井さんの声だ。
相変わらずかっこいい声してんな。
なんて考えている場合ではない。
どこの者? 異世界から来ちゃいました、なんて言えるわけない。
言ったら即、抜刀されて首ポロリがいいところ。
俺、まだ死にたくないしね。
「えーっと、あのーなんて言うんでしょうか。あれ、あれですよ、あれ」
……誤魔化し方が下手だな、俺。
しかもあれしか言ってないし。
「あれって何だよ!! しかもお前誤魔化し方下手にも程があんだろ!!」
ほら、副長さんの額に青筋立っちゃった。
「アンタ、隠すということは黒確定だねィ。土方さん、拷問して聞きだしましょう「ごめんなさい!! 正直に言います!!」
あぁ、やっぱり沖田さんはSだった。
拷問なんて軽々笑顔で言ってしまう。
で、俺は全て話した。
今までいた世界の事、どうやってこの江戸に来てしまったのか。
隠さず話した。
……正しくは、隠そうとする俺を沖田さんが笑顔で脅してきたんだけれど。
「……お前、頭大丈夫か?」
「土方さん、こりゃ屯所より病院に連れて行ったほうが正解でしたかねィ」
信じてない。
人が勇気振り絞って告白したのに、信じてないよ、この人達。
別に信じてもらえるとは思っていなかったけど、どうしようか。
俺が二人に哀れむような目で見られている、その時だった。
「俺は信じるぞォォオォォ!!」
突然勢いよく襖が開かれ、入ってきたのは
一匹の大きなゴリラさんだった。
あ、間違えた。近藤さんだった。
「トシ、総悟。信じてやらないか? 俺はこの子が嘘をついているようには見えない」
さすがゴリ……近藤さん。
信じてくれたことに感謝しながら俺はキラキラとした眼差しで彼を見つめた。
「……かわいィィ!! 子犬ちゃんのようだー!!」
抱きついてきたゴリ、近藤さんを押し返しながら俺は二人に視線を向けた。
「信じて、もらえないですか?」
これぞ必殺子供と女の涙は最強の武器。
俺は少し潤ませた(わざと)瞳で二人を見つめた。
年齢を利用した最強技だ。
……多少プライドを傷つけることになるが、気にしない。
「……はぁぁ。分かったよ。近藤さんが言うなら信じてやら」
「土方さん、アンタまさかのロリコンですかィ? キモすぎるでさァ。もう近寄んねぇでくだせィ」
馬鹿にするような顔でわざとらしく言う。
もちろんそれに土方さんは怒り声を上げた。
「総悟ォォ!! 俺はそんな趣味持ち合わせてねェェ!!」
抜刀して沖田さんを追い掛け回す。
騒がしさは漫画と全く変わらなかった。
そんな中、近藤さんが俺に笑顔でこう言った。
「どうせ、住む所もないんだろう? どうだ、ここで働いてみないか?」
いい人すぎた。
ゴリラ……近藤さんは漫画以上のいい人だった。
「でも、悪くないですか? 俺、多分役立ちませんよ?」
そう言えば、
「そんなことは気にするな」
と言ってくれた。
俺はその好意に一つ頷いて返すことにした。
……てか、
土方さん達に許可もなく、いいのだろうか。
でも今は、
とりあえずこの好意に
素直に甘えておこう——
(厳しい状況で優しさに触れると、人は涙脆くなる)
うん、分かるよそれ。
今まさにそれを体験してるところだよ。