二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼  化け狐 ( No.65 )
日時: 2010/08/22 19:00
名前: 悪夢食 ◆VuRwr/DrPo (ID: FQaXdAFn)

眠い。

第六話
   【高らかな宣言に悲鳴が続いた】

次の日。

「灸君ッ!!」

朝早く、障子がスパーンと開けられ、昨日頼んだ薬草が全部そろって渡された。
結構な量だし、千鶴ちゃんは薬草を大きなかご二つに分けて運んできた。

「こんぐらいで良かったかな?」
「うん。ありがとう」

優しく笑いかけて御礼をいうと、照れたように千鶴ちゃんはまた頼んでねといって去ってしまった。
足音が消えると朝の霧が静かに障子の隙間から覗いた。

「……ん」

静かに障子を閉めて、あの粉を飲まなくてすむんだと正直うれしかった。
そして俺は丸薬作りの準備を始めた。

                 *

その日の夜。
よくはわからないが討ち入りの準備が始まったらしい。
長州の会合が行われるんだってさ。
四国屋が当たりと土方が言っていた気がする。
その四国屋には土方たちが多目の人数で、池田屋には俺や近藤が少ない人数で行くと決まった。
……つまんないな。予備ほどつまんないものはないよね。
けど千鶴ちゃんが伝令役になってくれたし、暇にはならないかな。
丸薬も持ったし。よし行くぜ池田屋!まってろ池田屋!

「なんかやる気だね、灸の奴」

                    *

戌の刻__。
俺らは池田屋に到着。
そしてなんとこっちがあたりと判明した。うわっはー。
こっちは十人くらいしかいないから、会津藩とか所司代の役人が来るのを待たなければ圧倒的に不利。
だから今は待機中。
ま、どうでもいいんだけど。
俺はキョロキョロと周りを確認。ん?藤堂しか眼に入らないぞぉ?うん〜?
あ〜、藤堂可愛いよ藤堂。

                    *

亥の刻__。

「さすがにこれはちょっと遅すぎるな……」

新八が池田屋を眺めながら吐いた。
そうだよ。本当だよ。この俺の腹の高鳴り、どうしてくれんざー。
そして近藤が池田屋に一歩、足を入れる。

「会津中将お預かり浪士隊、新撰組。
詮議のため、宿内を改めるっ!!」

高らかな宣言と共に悲鳴が続いた。
十人しかいない中、踏み入ることを決定したのだ。
その時俺はあの小塁薬を半分に切ってのんだ。

『……やるのか』