二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 江戸に舞い散る薔薇の花 —銀魂 【神楽誕生日編】UP! ( No.142 )
- 日時: 2010/11/05 21:18
- 名前: リリ (ID: IoxwuTQj)
第八訓〜初対面の人にあいさつするって結構恥ずかしい〜 前編 時期【六訓後】
「はぁ〜。」
朱里はとぼとぼとかぶき町を歩いていた。
なぜなら、朱里はあのあと、お登勢や、キャサリン、たまを紹介してもらっていたのだが、とつぜん定春が暴れだし、小一時間掃除をやらされていたからだ。
「なんであたしまで怒られなきゃいけないのよ・・・・。ったく。」
ブツブツ呟きながら、朱里が角を曲がると、
ドン
誰かにぶつかった。
「あ、すいやせん・・・。」
「いや別に・・・。」
聞き覚えがあるような声に朱里が顔をちらりと見ると・・・。
「あああーーーーっ!!おとといのチンピラ黒服集団の—!」
見覚えのあるその顔に、朱里はおもわず叫んだ。
「え、あんた誰ですかィ?」
思い出せない様子の相手に、朱里はまたしても叫んだ。
「は!? あんたあたし捕まえにきてたじゃん!万事屋に!」
「旦那の・・・?おととい・・・・。あ、そういやその赤髪、見覚えが・・・。」
思い出したように言うのは、ほかならぬ、沖田総悟であった。
「おい。会ってから一週間もたってないんだけど。しかもさ、これ、どうしてくれんの?」
朱里が自分の肩を指差した。 そこには、べったりとチョコミックスソフトが付いていた。
「あー、すいやせん。」
「それだけかい!」
あまりにあっさりした総悟の物言いに、なおも朱里が怒ろうとすると、
カラン
下から乾いた金属音がし、二人で下を向くと、双剣の片方が落ちていた。
「あ、やべ。」
朱里がおそるおそる右を向くと、
「さぁて・・・・。屯所までご同行願いまさァ。」
とても爽やかな笑顔の総悟が立っていた。
朱里は思った。
—こいつ、あたしと同じ眼をしている—
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「んで?こいつがその廃刀令違反者か?総悟。」
手錠をかけられ、ふてくされている朱里を指差したその男は—土方十四朗である。
「コイツ、おとといの・・・。」
つぶやく土方に、
「どーもそうみたいなんでさァ。さっきっから、
『銀〜!神楽ァァ!ダメガネェェ!助けてェェ!』
とか、しきりに叫んでますからねィ。」
と、総悟が答えた。
「そーか。 ま、名前聞いとこうか、一応。」
さっきからしきりに叫んでいる朱里に向かって土方は言った。
「て・・・う・・・し・・り・・・。」
「あぁ?聞こえねぇなぁ。」
ぼそぼそという朱里に、耳をよせ、挑発的に言った土方だったが、次の瞬間、
「天翔朱里!! 8月19日生まれ! 身長162cm!体重と年齢はトップシークレット!!!好きなものはおいしいもの!嫌いなものは—」
すごい大音量で叫びだした朱里は、そこで一度切り、息を吸い込み・・・・。
『おまえだァァァァァァ!!!!』
と、今までで一番大きな声で叫んだ。
「名前言ったけど?」
フンと顔を背ける朱里に、総悟が感嘆の声をあげる。
スパーン!!
すると、とつぜん戸が開け放たれ、
「トシィィィ!総悟ォォォ!どうしたァァァァ!!」
と、声が振ってきた。その声の持ち主は、
「あれ、近藤さん、どうしたんですかィ?」
—真選組局長、近藤勲であった。
八訓〜初対面の人にあいさつするって結構恥ずかしい〜 後編
「あれ、近藤さんどうしたんですかィ?」
何事もなかったかのように言う総悟に、近藤は、
「いや、すんごい声がしたんだが・・・。何かあったのか?」
「ああ、それは多分・・・・・、」
アレのせいでさァ、と 朱里を指差す総悟に、近藤は、
「こんなかわいい子がさっきの声を?冗談やめてくれよ総悟。」
がははは! と、豪快に笑う近藤。それに朱里は、
「は?何?キモッ。こっち見ないでくんない?ゴリラ。」
と、強烈すぎる言葉のカウンターパンチをお見舞いした。
おもわず苦笑いした近藤だったが、
「総悟、この子は何をしたんだ?あと、トシは、あれ、何で白目剥いてるんだ。」
本題を切り出した。
「あー、何か刀2本持ってたんで逮捕しやした。」
「トシのほうは?」
「こいつが土方コノヤローの耳で叫んだら何かなったみてーでさ。」
このやりとりを見ていた朱里は、
「いいじゃん別に!それは『翔羅』(しょうら)っていって死んだあたしの母さんの命より大事な形見なの!さっさと返せ!このチンピラ警察!」
感動はしなさそうな朱里の話だった。
「そうなのか・・・・グスッ、そういうことなら返さないとな・・・グスッ。そうかぁ、君はお母さんをなくしているのか・・・・グスッ。」
そういったあと大号泣するゴリラ。ぶわぁぁぁ、と涙をながす近藤を見て、こそこそと朱里は、
「ちょ、なにアレ。グズグズグズグズ。あいつネジ外れてんの?どうなのそこの美少年。」
「あ〜、近藤さんは涙腺と、『ピー』がもろいんでさァ。ほっときやしょう。」
近藤をチラ見しながら、話し始める。
「そーなのか。なるほど、美少年。あとさ、そこの瞳孔男ウザくね?」
「あれ、気が合いますねィ。俺もそいつを抹殺しようとしてるとこなんでさ。」
「そーか、じゃあ今度こいつを抹殺する計画立てようじゃないの。」
一通り話し終わると、
「ま、いいや。返してもらえたことだし。」
と、帰ろうとしてから、あ、そだそだ と、止まった。
「ちなみにあたし朱里。天翔朱里。・・・・あたしが名乗るなんてハレー彗星くらいのレア度だぞゴリラ。」
勘でまた会うことにあるのを感じたのか、一応名乗った朱里である。
え?なに? あれ、このまえ名乗ってなかった? ・・・・別にいいじゃん?
「そうか。朱里ちゃんというのか。・・・・ああすまん。俺は近藤だ。近藤勲。」
「ちなみに俺は沖田総悟でさ。んで、あっちで死んでるのが土方。」
「そっか。よろしく。ゴリラに総悟。」
「なんで俺だけ名前じゃないの?」
そしていきなり自己紹介になってしまったが、それはおいといて。
「おおそうだ。さっきからお茶をくれているのは、監察の山崎だ。」
どうも。と、頭を下げる山崎に朱里も礼を返す。
「さて、そろそろ帰ってもいいぞ?他にもたくさん紹介したいやつはいるが、あいにく仕事でな。」
笑って言う近藤に、
「ま、ヒマなときにでも遊びに来るよ。じゃあね。」
と、朱里も踵を返す。
「今度土方抹殺計画手伝ってくだせィ。」
「またいつでも来ていいからな!」
朱里は帰り際、最後にこういった。
「あ、着物のクリーニング代、土方ってやつに請求しとくから!」
不敵に笑う朱里であった。
【出会い編 真選組編 完】