二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *.゜__今宵、舞う桜゜.+ 薄桜鬼 ( No.35 )
- 日時: 2010/08/20 20:50
- 名前: 白兎 ◆jrmw9PioPI (ID: 7jEq.0Qb)
一瞬、サッと空気が変わった。
総司はクスクス笑い始めるし、俺は柄から手を慌てて離した。
「……瀬那、私闘はご法度だと。土方さんに習わなかったのか」
この声は……
振り返るまでもなく俺にはわかる。
『あー……!一に言われるまでもなく覚えてるから』
副長至上主義の斎藤一。
もう心酔してるな、例の石田散薬も人に押し付けるのだけは勘弁して欲しいと思う。
総司とは遊び半分で斬りあえるけど、斎藤との斬りあい…特に今は私闘については土方さんが関係してるから色々面倒くさい。
俺は苦笑いしつつ、総司を鞘でバシッと叩いてからその場からずらかようとした。
—————やっぱり物事って上手くいかねぇな。
「…瀬那、お前が食べたいのはこれだろう」
…ピク。
不覚にも振り返った、だって急に背後の縁側から甘い香りがしたから。
そして、すぐさま俺は縁側に滑り込んだ。
『……あ、あそこの…饅頭』
「…どうせ総司に食われたのだろう、俺が茶菓子で買ってきたものでよければやる」
スッと前に出された、魅惑の饅頭。
「食べて!」といっているように聞こえる。
……だけど、ここで食べたら乙女全開じゃないか。
俺はフイッ、と顔を逸らして「いいよ、いらない」と告げた。
すると、また総司がいらねぇことを言う。
「あれー、瀬那ちゃん。あれだけ食べたいって僕に斬りかかってきたじゃない」
『…おま、、いらないことを!!』
「……俺なら、気にせずさっさと食え」
呆れたような笑いを浮かべつつ、一は俺の手元に饅頭を置いた。
—————もう、我慢なんてしないから!!
短く切ったように見えていた髪がフワッと風で舞い上がる。
そのとたんに崩れて、長い髪が現れた。
俺———私は、今だけ普通の女の子。
甘いものに目を輝かせているただの女の子。
『…いただきます!』
「…良かったな」
「幸せそうに食べるよね」
そんな私を笑いながら見てくれる二人とすごす時間はとてもほのぼのしてて好き。
——…ほんのり香る、和菓子の香りは桜の香り…