—序章— 霧消えて行く思いの中で、僕は心の中で呟く。(あぁ、出来るなら、もう一度だけ彼に・・・)水音がする水牢の中で、僕は更に意識を深めた。彼の、オレンジ色の瞳。その奥に見えるのは、僕ではなく、大空の彼。愛おしい感情を抑えながら、僕は彼の顔を思い出す。彼と言っても、正確には彼女なのだけど。(あぁ、本当に・・・)狂うほど、愛おしい。だけども、彼は——。意識が闇に沈む感覚を感じながら、彼の表情を思い出していた。