二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 僕が、もしも——。【REBORN】 ( No.3 )
日時: 2010/08/16 10:03
名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)

「転校生の壊崎君だ」
「壊崎終夜です、宜しく」

先程であった少年は、このクラスの転校生だったらしい。
壊崎君は、只、教卓の前に立って、凛々しい表情で虚空を見ていた。

「じゃあ席は——」

そんな担任の声よりも聞こえてくるのは、生徒の声。


(何かダメツナに似てねぇか?)

(でも、壊崎君のほうが凛々しいって感じだよね)


俺はそんな会話を耳にして、溜息を吐いた。

「じゃあ、席は沢田の隣だ」

そんな担任の声がして、靴の音がして。
俺は目の前を見上げた。

「隣だね。よろしく」

壊崎君は苦笑して、「よろしく」と呟いた。





壊崎終夜が並盛中学に転校して来た。
ある生徒に憑依して、僕は彼を見ていた。


(壊崎終夜・・・久し振り、ですね)


僕は人知れずに少しだけ笑った。
オレンジ色の瞳は、只虚空を見ていた。

彼の目には、「 大空 」しか映っていない。

広く、只、美しく広がる大空。


(貴方の目には、僕は映っていない・・・)


少しだけ悲しげな表情をした。
そして、目眩が襲う。


(もう、長くは無いですね・・・)


強制的に憑依したも同然の行為だった。
牢獄に入れられている所為で、力も満足に震えない状況だったのにも関わらず。


(では・・・また)


——会える日を、願って。


僕は意識を闇に沈めた。





「・・・」

俺は後ろを振り返った。


(気の所為、か・・・)


俺は、懐かしさの残る感情を持ちながら、廊下を歩き出した。