二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:    傷痕-嘘か誠か-  【DR!!】 ( No.3 )
日時: 2010/08/18 22:09
名前: 牛乳寒天 (ID: ELEtmaFx)


—1cry;暗殺者、今宵も闇へ
              (理由あり殺人)



「光、少しお出かけしてくるね」


妹の光に声を掛けて、玄関のドアノブに手を掛けた。
開け様とした時、後ろから服の裾を引っ張られている事に気付き後ろを振り返ってみる。
案の定、光が俺の服の裾を引っ張っていたのだ。


「…早くかえってくる?」

「あぁ、出来るだけ早く帰ってくるようにするよ。翼姉さんよりは早く帰ってくれるから大丈夫だよ」


そう言って、光の頭を撫でると、嬉しそうに光は笑った。

手をゆっくり離し、再度玄関のドアノブに手を掛けた。
ゆっくりそのドアノブを回せば生暖かい風が肌を撫でた。
空はどんより淀んでいて今にも雨が降りそうな天気。

(早く終わらすか)

頭の中でそう思い、外に足を踏み出した。
「おにいちゃん」と声がしたけど、振り向かず「行ってくよ」と一言言った。


「いってらっしゃい!!」


光の明るい声を聞き終え、外に出て玄関を閉める。

今日も人を殺すのか、と思うと良い気分になれないが光の為と考えれば随分と楽になった。

そして、思い足取りで夜の池袋へ足を運んだ。



***



夜の池袋の光景が、俺は好きではない。
理由なんかわからない。
けど、俺の瞳にはどうしても“あまりよくないもの"に見えるのだ。

現在の時刻は8時36分。
街はだんだん夜の姿に変えて行く。


「…樋口幸助(ヒグチ コウスケ)」


闇金会社に勤める39歳独身。
今日がそいつの最初で最期の日になる。

暗殺の予定の時刻は8時50分。
今の時刻は8時43分。
あと7分でそいつの人生は俺の手で奪われる。

俺は首に掛けといたヘッドフォンを耳にあて、ipodの電源をいれて曲を流した。
そして、フードを深く被りそのまま樋口が勤める事務所へと向かった。

手に潜めているナイフに自然と力が込められるのに、気付かない振りをして。


「ここか…」


目の前には樋口の勤める会社。
そっと入り口に目をやれば、厳つい黒いスーツを着た男が3人。

(少しキツイな…)

なんて思いながらその事務所へ足を動かした。
けど、丁度いいところに入り口のドアが開きそこから樋口が出てきた。
ガードも無しで甘い奴だ、と呆れながらも樋口へと足を向かう。

現在、丁度8時50分。
予定通りの時間だ。

樋口の横を通り過ぎないうちに、素早く首のの頚動脈を切った。

一瞬にして血が噴出し、倒れる樋口。

通行人の足が次々に止まった。
樋口から数メートル離れると、女性の甲高い悲鳴が聞こえてきた。
足を止め後ろを振り返れば樋口の周りに多くの人が集まっている。


「救急車!早く、救急車!!」
「駄目だ、間に合わない!!」
「野次馬は散れッ!!」
「え〜ナニナニ!!?殺人事件!?」
「うわー惨くね?」
「あーまたかよぉ…」
「ぅえッ……気持ち悪ぃ…吐きそう」
「ちょ、早く写メ撮って!」
「最近殺人事件多いよなぁ」
「やばくね?通り魔とか?」
「やだぁ…怖ぁ…」


などと次々人の声か聞こえてきた。
俺は、そんなことを他人事にして自分のマンションへと向居い誰の目にも触れられることなく夜の闇へと消えた。



***



「ふぅん…あれが噂の高校生殺人鬼かぁ」


大きなガラス窓から双眼鏡で一点を見つめる漆黒の青年。
楽しそうに且つ非常に腹を立てながら今の惨劇を見たいた。


「俺の愛してる人間をこんな殺しちゃって…」


そう怒りの言葉を向けてるもの、顔は笑っていた。


「さて…どう俺が手を下そうか?…ねぇ——不知火明君」


ゆっくりと歯車は狂い始めた。