二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼−忘れていたもの− ( No.90 )
- 日時: 2010/12/12 18:05
- 名前: 奈絡 ◆nMFqOF/qCM (ID: 3rAN7p/m)
- 参照: http://sanctuary.nandemo.gr.jp/work/miyako/
第三章:夢と出会い
真っ白な世界。そこにあるものは桜の雨を降らす桜の木と架那だった。
…………桜か
「なつかしいな……」
何が懐かしいのかもわからないのに俺の口からは無意識にその言葉が出た。
俺はしばらく桜の雨が降り注ぐ中、桜の木を見上げていた。
「………」
?
誰かに呼ばれた気がして俺は振り返った。
振り返った先に見えたのは、おそらく15歳ぐらいだろ。一人の女の子がたっていた。
誰だろう?
知らないはずなのに知っている気がしてならなかった。
俺は無意識にその女の子に手を伸ばしていた。
俺の手がその女の子に触れる寸前、
俺は夢の世界から現実へと引き戻された。
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なんだったんだ?あの夢は……
架那はしばらく先ほどの夢について考えていた。
が、それも飽きたのか、架那はもう一度眠りにつきはじめた。
飽きたのではなく、今そんなに悩んでも結論は出ないと悟ったのだろう。
しばらくして………
「……、架那!いつまで寝てんだ!?」
……うるさいなぁ、まだ朝じゃないか
身体を揺すられる間隔と名前を呼ばれる声で架那の意識は少しずつ覚醒し始めた。
やがて、ゆっくりと布団から身体を起こし、髪をいじりながら自分を起こしに来た相手を恨めしげに見た。
俺は起こしに来た相手を見て、目を見開いた。
そう、そこにいたのはまぎれもない、鬼の副長、土方だった。
「起きたなら、さっさと仕度しろ。もう、朝食の時間だ」
土方は架那が起きたことを確認し、一言そういって部屋から出て行った。
ふぅ、相変わらず険しい顔をしてるなぁ、あの人は
そんな険しい顔してると幸せが逃げてしまうと教えたいくらいだ
いや、あの人にとっての幸せは何なのかは俺にはわからないけどさ……
架那は急いで身支度をし、幹部たちが集まっているであろう、広間に足を運んだ。
広間に入ると幹部が全員そろっていた。
架那は素早く席に着き、近藤さんが音頭をとるのを待った。
しかし、いつもならすぐに聞こえてくる近藤さんの声が聞こえない……
何故だろうと思い、近藤さんを見た。
すると近藤さんもこちらを見ていた。それも何か珍しいものでも見るような目で
「近藤さん、早く音頭をとってください」
俺はお腹がすいていたので近藤さんに早く音頭をとってもらうに越したことはなかったのだった。
俺が声をかけると近藤さんは我に帰ったのかやっと音頭をとってくれた。
その合図でみんながいっせい食事を始めた。
あ、今日のはおいしいな。作ったのは斎藤かな?
そんなことを考えながら食べていると、ふと気がついたことがある。
そう、いつもの朝食の取り合いが行われていないのだ。
いつもの騒ぎの元凶である、平助をみたが平助はおとなしくしている。
何故だろうと思い、隣にいる平助に声をかけた。
「なぁ、平助。何で今日はそんなにしずかなのさ?」
すると、平助は「え?」と何故かに戸惑った。
「いや、だからさ何でそんなに静かなのって聞いてるんだよ!」
俺が再び質問すると平助は
「い、いや……何かお前が髪おろしてるとこ見たの初めてだなって思ってさ……」
そういった。
「え?」今度は俺が戸惑った。
そして、自分の髪を触ってみると平助の言ったとおりだった。
どうしようかと迷ったが、食事中に立つのもだめだから、そのままにすることにした。
そして、朝食が終わると髪を結いに部屋へ行こうとしたら土方に呼び止められ、会議に参加しろと言われた。
参の一・完!