二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Chapterⅱ ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.127 )
日時: 2011/02/11 01:26
名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
参照: 紅蓮。コンナ事ヲシテ、楽シイ?? —————、ドウダロウナ、精市。

*+第十五話+*


「そうだ、銀花に良いこと教えてあげるよ」


輪廻はパーカーの帽子を被ると、彼女に向かって言う。


「あの技さ、昔、紅蓮が教えてくれた、って言ったでしょ??






                     でもね、それ、“嘘”だから」


え、と銀花の驚きの声と、輪廻のクックック、と笑う声。


「紅蓮が教えてくれた技を改良して、“私が作った技”。やっぱ、鈍らないモンだね。じゃぁね、銀花」
放り投げてある、ラケットと階段の上にあるテニスバッグを取ると、軽い足取りで彼女は去った。

***


「紅蓮、って誰っスか」

リョーマは不思議そうに、名前を呟きながら乾を見る。
「俺も深くは知らないが」
パラパラとノートを捲ると、口を開く。

「立海大附属中男子テニス部所属。名前は柊紅蓮。3年。クラスはレギュラーの仁王、丸井と同じ。
 レギュラーではないが、レギュラーと一番関わりを持っていて、1・2年の指導もやっている。
 “左利き”で、サーブ&ボレイヤー。試合にはあまり出ないが、出るときは、“必ず相手の棄権負け”」

乾の説明を聞くと、数人はデータの少なさに驚き、銀花は違う意味で驚いた。

「よく、紅蓮のデータそこまで手に入れましたね。誰も、取れないと思ってた」
本気で驚いているらしく、ちょこちょこ区切れる。
「あぁ、だが、止められてしまってね。もう、今は取ってないさ」
乾はパタン、とノートを閉じた。

「でしょうね。紅蓮のデータは取らせないように、3強が手を回してましたから」
銀花の言葉で、飲み物を飲んでた桃城はむせる。
「銀花から紅蓮のことを少しだけ教えますね、いつもお世話になってるので」
ニコッと、銀花は乾に向かって笑った。

「彼は両利き。試合は出ません。目的がなければ、ですがね。
 後、彼とは、絶対に試合をしたいなんて、思わないで下さいね」

リョーマは深く被っていた帽子を少し上げて、彼女を見る。

「何で」
「ハッキリ言うね。彼はレギュラーにはなってないけど、幸村部長と互角。ううん、それ以上」
「へぇ」
「でもね、試合の進め方が酷なの。んと、跡部サンより酷い感じかな」

全員の頭の中で200人の頂点に立っている人間が浮かび、“アーン?”と一言。

「まだ不服そうだね、リョーマ」
まぁね、と彼が言えば、はぁ、と銀花は溜息。
「もし、紅蓮と試合したいなら、その前に条件」
リョーマは顔を上げて、銀花を見た。


















「“私”、唖李栖、輪廻の中の誰か1人と試合して、勝ったら紅蓮とやっても良いよ」




















今度は、海堂がむせる番だった。

「アンタ強いの??」
リョーマが言えば、まさか、と銀花の笑い声。

「強くはないよ。ただ、私のテニスは紅蓮のテニスを“ほぼコピー”してるからね。
 だから、私とやるときは、私が1ゲーム取ったら私の勝ち。
 輪廻や唖李栖みたいに、体力や力強いボールが打てるわけでもないしね。
 ……、2人とやるなら理由話してからじゃないと、本気で試合してくれないよ」

ニコッと、銀花が笑えば、リョーマは口を開いた。

























「アンタってさ、テニスの話すると一人称変わって、そんなに嬉しそうな顔すんだ」


















銀花は驚いてから、もう一度微笑んだ。






























「————————————————————————そうかもね」











***[立海コート]


「紅蓮先輩っ!!!」

パタパタ、と小柄な男の子達が幸村達と一緒に居る、紅蓮の元に駆けてくる。

「お、どーした」
彼らは現在1年生。
一番、紅蓮に懐いていて、紅蓮も一番可愛がっている後輩たちだ。
「青学と比嘉の試合を撮ってたら、凄い人を見てしまったんです!!」
ビデオカメラを紅蓮に渡せば、幸村が再生ボタンを押す。

「っ!! これって」
赤也が驚けば、幸村はゆっくり紅蓮を見、紅蓮は眉を寄せた。
「うわ、顔面スレスレ。あぶねーの」
プクッとガムを膨らませながら、ブン太はジャッカルの頭を触る。




















「紅蓮。こんな事をして、君は楽しいのかい??」

























幸村に問われれば、彼はフッと笑う。

























「どうだろうなァ?? 精市」



















































「君は、「これは俺の考えた技を、輪廻が自分で変えたんだろうな」」





















































































紅蓮が言えば、全員が驚いて、ビデオカメラに視線を移す。






















































































































































































「実験は“大成功”のはずなのに、なんだろうな。ココ[心]に残るのは“空虚感”だけなんだよ」





















































































































































































































彼は空を見上げながら、静かに言う。
















































































































































そこには、紅蓮の心をもっと、凍らせるかのような、冷たい風が吹いていた。