二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: Chapterⅱ ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.23 )
- 日時: 2010/09/07 19:41
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: 君ヲ信ジルコトガ出来ナクナッテイル。
*+第四話+*
「…す!! おい、ありす!!」
ビクッと、唖李栖の肩が揺れる。
「あ、向日さん」
ニコッと、彼はぎこちなく笑った。
「お前、どうしたんだよ」
周りのメンバーも、心配そうに彼を見る。
「何でもないですよ??」
ニコッとまた、ぎこちなく笑った。
「輪廻は、どうした。一緒に帰って来たんだろ??」
跡部の言葉に、少しビクッと彼は肩を揺らす。
そして、自分の行動に驚くのだ。
「何か、遭ったのか??」
優しくゆっくりと聞く、宍戸。
「何も」
プイッと、横を向くが少し悲しそうな表情。
「何が遭ったんだ、那紅埜」
横でメモを取ってる彼女に聞く、跡部。
「私も、分からないです」
そう言うが、目線が揺らいでいる。
「跡部さん。詮索はしないで下さい、貴方ならきっと見れば分かりますよ」
悲しそうに彼は笑う。
「どういう」
“意味だ”なんて、跡部は聞けなかった。
何故だか、彼を纏う雰囲気が“聞くな”と言っているようで。
いつものように、跡部はハッ、と笑う。
「なら、お楽しみ、ってヤツだな」
唖李栖は驚くが、直ぐに笑顔になる。
嗚呼、これはこの双子の特技、と言うべきだろう。
他人に知られまいと、強がる二人。
加速していく、
どんどん、
どんどん。
さァ、絡まる糸は何処まで、絡まってくれるだろうか。
***
「やァ、あまり君とは話さないよね」
ニコッと、嫌な笑みを浮かべる彼女。
「輪廻、と代わって」
銀花が言えば、彼女はガリッと飴を噛み砕く。
「ヤーダ」
子供っぽく言う彼女は、全く掴めない。
「銀花は、」
銀花はそこで、言葉を詰まらせる。
目の前に居る“自分より年下”の少女が異様な雰囲気を漂わせていたのだ。
そして、銀花は驚く。
その少女に、“恐怖”を抱いたことに。
「ね、いい加減止めない?? 自分のコト“銀花”って呼ぶのさ」
じっと見られて、銀花も視線をずらすことが出来ない。
「な、んのコト…?? 銀花は、元からっ」
銀花が言うと、彼女は銀花の耳元で囁く。
「嘘吐き」
たった、たったそれだけなのに。
「っ!!」
銀花は一歩、後ろに下がる。
目の前の少女は未だ、笑っていた。
嗚呼、唖李栖が輪廻を好きなのが、分かったような気がする。
なんて、銀花は思う。
「ねェ、“俺”が何にも知らないと思う??」
その一言で、銀花はゆっくりと、彼女を見た。
ニヤリ、と笑っている。
「表に出てなくてもね、ちゃんと“知ってる”んだから」
銀花は頭を鈍器で叩かれたような感覚に陥った。
「立海で、“何が”遭った、とかさ」
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
「やめ、て」
途切れ途切れになる、言葉。
「なァ、」
彼女は最高の笑みで、銀花を見る。
「————————————怯えてるのか、銀花」
それは、固定の問いかけ。