二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: Chapterⅱ ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.260 )
- 日時: 2011/04/04 14:50
- 名前: うっさー ◆OOs7K0umK. (ID: bG4Eh4U7)
- 参照: 物分カリノ良イ君ナラ、ドウイウ意味カ分カルダロウ??
*+第二十九話+*
その後、結果的に幸村が勝つことができた。
だが、一日で“柊紅蓮”の名が学校中に広まった。
“あの幸村に3ゲームも取った同級生”と言うことで。
***
「あー、だるい」
紅蓮は屋上で溜息を付く。
朝から、彼の周りには人、人、人。
それで、紅蓮は思いっ切り大声で怒鳴り散らしたのは言うまでも無いだろう。
「元々、俺は人が嫌いだっつーの」
吐き捨てるように言えば、携帯を取り出す。
「あんな約束、しなきゃ良かったな」
何故、何故、彼の条件に易々と乗ってしまったんだろう。
紅蓮の中には今、後悔が押し寄せる。
「いや、勝てる自信はあったんだ」
嗚呼、あったさ。
いや、本気出せば、今からでも取り返すために勝てる自信はある。
それをしないのは、自分の中に渦巻いている“興味”。
「つくづく、自分の性格がめんどくさいよ」
紅蓮は棒についている、シュワシュワキャンディーを舐める。
「ま、“アイツ”が此処に入学したら、抜ければ良いし」
紅蓮の上がる口角は下がることを知らない。
嗚呼、早く帰って君に会いたいのに。
あの時、何故、手を抜いてしまったのか。
自分でもよく分からない。
でも、目の前の幸村の“目”を見て、やっても良いか、なんて思った俺が居たのは確かだ。
「くだらない、な」
俺が、誰かに興味を持つなんて。
二度と、テニスなんかやるつもりなかったのに。
「————————————————お前がいけないんだぜ、幸村。……、壊されたって恨むなよ??」
***[部室]
「は??」
全員が集まりミーティングをしていると、紅蓮から驚きの声。
「だから、お前も“レギュラー”に選ばれた」
部長である三年に言われれば、紅蓮は一気に無表情に。
そして、口を開けると、静まった部室で紅蓮をじっと見る人達。
「やらない」
一言だけ言うと、全員が驚いた表情になった。
「お前、何言って!!」
他の三年の部員が彼の腕を掴むと、紅蓮は離させる。
「やらない、と言ったらやらない。それに、俺が興味あるのは“レギュラー”じゃないんで」
そういえば、クスッと幸村は笑う。
紅蓮はそれを見ると、では、と呟いて、部屋から出て行った。
***
「お前、一年のくせに生意気なんだよ!!」
「レギュラー断ったりしてさ」
「幸村にも負けるほど弱いんじゃねーか!!」
俺の周りには、先輩というなの人ばっか。
嗚呼、なんてくだらない。
何も言わないと分かると、何発か殴りと蹴りを入れて消えていく。
「こんなコト、やってんのか」
毎度毎度、ご苦労なこった。
きっと、幸村、柳、真田にはやってねーんだろうな。
アイツ等の存在感は半端無いらしいし、部長が怒るだろう。
「所詮、嫌われ者は外で見てるのが一番なんだよ」
屋上でコートを見れば、楽しそうにテニスをしてるのが見える。
でも、楽しそうにやらない人も居た。
「実力の差、ってやつか」
実力で変わるものなのか、人の気持ちは。
なんて、簡単で単純な生き物。
「さてと、行きますか」
心配されるのは好きじゃない。
他人の悲しむ顔も好きじゃない。
どうでも良い人間でも、笑っていてほしい、なんて考える。
「俺も、面白い人間だよ」
***
先輩から色々なコトを言われてからの次の日。
「だーかーらー!! お前等、さっさとどっかに行け!!」
屋上で、紅蓮の叫び声が響く。
紅蓮の目の前に居るのは、三強。
「ふふ。そんなに大声出したら、サボってるのがバレちゃうよ??」
幸村がクスッと笑えば、紅蓮は渋々小さい声で相手に言う。
「お前等、何でこんなトコに今、居るんだ」
表情は変わらないが、少し焦っているのは見えていた。
「ならば、何故、お前は焦っているのだ」
柳の言葉に、紅蓮は初めて反応を示す。
「何、言っ「蓮二、俺たちは“仲良く”なりにきたんだよ」」
紅蓮の言葉を重ねるように、幸村は笑って言う。
「ね、良いよね。“紅蓮”」
「……、“柊様”って呼んだら考えてやっても良いが??」
「柊様ー」
「ちょ、おまっ!! ボケを本気で返すな!! すっげー、空しいだろうが!!」
そう紅蓮が言えば、幸村はニコッと笑った。
***[図書室]
「此処まで、着いてくんのか。柳」
はぁ、と溜息を付きながら紅蓮は言う。
此処は、図書室でも後ろの後ろなので、めんどくさい本しか置いてない。
おかげで、密談やサボる場所には最適だ。
「1年E組 20番 柊紅蓮。8月20日生まれのA型。体重は48kg。身長は159cmと少し低め。
苦手な教科は、美術と数学と社会。得意な教科は、それ以外の教科全部。
好きな食べ物は、柑橘系の食べ物とチョコチップクッキー。嫌いな食べ物は、味の濃すぎるモノ。
得意なスポーツは主に全部。特に出来るものは、テニス、陸上、バスケ。苦手なスポーツはない。
テニスでは両利きのオールラウンダー。腕前はかなり上だと考えられる。
家は、代々医者の家系。昔は、“よく笑っていた”と」
柳が言い終わると、紅蓮は目を見開く。
「へぇ?? 結構、俺のコト調べてんだ。ってか、それ何処の情報だよ」
苦笑い気味で言えば、柳は少しだけ驚いていた。
「お前と同じ小学校出身の人が居たからな、そいつらに聞きまわったんだ」
ほぅ、と紅蓮の驚きの声。
「何故、黙っている」
「“なにを”かな?? 柳クン」
にっこり、と笑って、紅蓮は柳を見る。
紅蓮の前に柳。柳は後ろの本棚に寄りかかっている状態。
「昨日、思いっ切り殴られていただろう。蹴られてもいたか」
「見てたんだ?? いけないねェ、盗み見とは」
紅蓮は笑って、柳に言う。
「あ、他の二人には言ってないよね??」
あぁ、と柳が言えば、紅蓮は彼の右手首を優しく握る。
「柳クン。これ忠告ね??」
ぎゅっと、少し力を込めれば、柳の表情が少しだけ歪んだ。
「——————————————————————もし、他の奴に言ったりしたら、“壊してやるよ”」