二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Chapterⅱ ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.268 )
日時: 2011/04/13 18:26
名前: うっさー ◆OOs7K0umK. (ID: bG4Eh4U7)
参照: もうッ!! 紅蓮は、我慢ばっかするんだから…。ダメだよ!!

*+第三十一話+*


“ちょ、銀花何するんだよ!!”
“んーと、なでなでしてるのー”
“恥ずかしいだろっ!! 止めろよ!!”
“やめないよー。ぐれんがニコニコわらってくれたらやめてあげるー”
“笑ってるだろ。早く、はーなーせー”
“…、むぅ。じゃぁ、ぐれん”
“なんだよ、銀花”
“また、だれかとけんかしたら、あたしがなでなでしてあげるからね!!”
“っ!! なんで、知って??”
“えへへー!! あたしはぐれんのことならなーんでもしってるんだよ!!”
“……、銀花。ありがと”
“だから、なにかいやなことあったら、いってね!!”





“あたしが、またぐれんをなでなでしてあげるからね!!”





「んぁ??」
紅蓮はゆっくり目を開ければ、そこにはいつもの笑っている後輩の心配そうな顔。
「紅蓮先輩ッ!! 大丈夫、ッスか??」
心配そうな後輩の顔を見れば、紅蓮は無意識に目を擦った。

「え」
手を見れば、何故か濡れている。
「アホらし」
ぎゅっと、手を握ると彼に向かって笑いかけた。

「紅蓮先輩って、からーこんたくと、して寝るんッスか??」
話を逸らそうとしているのか、赤也はじっと紅蓮の目を見ながら言う。
「あ、しまった。赤也、しばらく見るな」
ぐっと、紅蓮は赤也の頭を抑える。

「い、痛いッスよ!!」
「あー、黙れ黙れ。先輩命令だから、マジで見んな」
相当、ダメージを喰らったのか、しょんぼり気味の紅蓮。

「赤也。紅蓮は寝ながらカラーコンタクトなんてしないよ」
「ば、馬鹿ッ!! 言うなっ」
幸村の言葉に反応するかのように、紅蓮は直ぐに言う。

「普段、黒のカラコンしてるだけじゃ。のう、紅蓮」
仁王が言えば、キッと紅蓮は睨み付ける。
黒い普段より、今の青い方がずっと威圧感があった。

「え、何でッスか!!」
ぐっと、赤也は紅蓮を見ながら言う。
「んなもん、めんどくさいコト起こしたくないし、似合わねぇよ」
紅蓮は言うと、“何処に入れたっけ”と呟きながら、ポケットの中に手を突っ込む。





「えー!! そんなコトないッスよ!! すっげー、似合ってるッス!!」





赤也はニコニコ笑いながら言っていて、その言葉が嘘ではない、と言うコトを証明していた。
その笑顔で重なるのは、銀色の少女。
ふわり、と笑って、いつも不安を何処かへやってくれた、大切な人。

「あー、もう!! お前も、アイツも、何で俺のコトそんなに構うかな…」
紅蓮は赤也の髪をわしゃわしゃすると、ニッコリ笑う。
「でも、嬉しかった。ありがとな、赤也」
その言葉を聞くと、赤也もニッコリ笑った。


“あたしは、紅蓮の目すっごく綺麗だって思うよ!! だから、気にしなくて良いんだよ”


過去の彼女を思い出せば、頬が緩んだ。
でも、ハッとして、不思議そうに記憶巡りをする。

「紅蓮?? そんな深刻な顔してどうしたんだよぃ」
ブン太が不思議そうに彼を見れば、全員が紅蓮の方に視線が行く。
「あの、さ」
途切れ途切れで言うと、紅蓮は息を吸ってから、口を開いた。

「銀花って、何時から“一人称”変わった??」
些細なコトを気にしてる、って紅蓮は自分でも分かっている。
でも、だけど、胸の中で何かが疼いていた。
“早く気付け”“早く気付け”と、頭でも何かが叫ぶ。

「何で、そんなコト気になるんですか??」
柳生が全員が思っていたことを口に出す。
「分かんない。分かんないけど、“何か”何かがおかしいんだ」
朝っぱらから、何を考えてるんだ自分は、なんて思うが、一旦上がった疑問は浮上したままだ。

「マネージャーを始めてからだ。アイツが自分のコトを名前で呼ぶようになったのは」
柳は紅蓮と視線が合うと、“知りたかったのだろう??”と付け加える。
紅蓮は一年の頃、自分のコトを調べた彼のデータが苦手だった。
だが、これ程、感謝する日が来るとは。

「それがどうしたんじゃ??」
仁王が聞いたときだった。
静かに、リビングのドアが開く。

「朝っぱらから何、騒いでるんですか。あー、眠い」
「もう、輪廻ったら。あ、おはようございます」
眠そうに目を擦る双子の姉と、爽やかな笑顔を見せる双子の弟。

「何騒いでるのか知りませんが、お腹減ったんで、朝ご飯にしますよ」
ニッコリと、彼女は嫌な笑みで笑った。


***[会場]


「んっと、これで良し、っと」

少しノートをメモってから銀花は笑う。
周りを見回してから、伸びをすれば、関節からポキポキッと音がした。

「昔は、柳先輩と一緒だったからなー。少し、大変だったかも」
思い出してクスッと思わず笑みが零れる。
昔はよく、柳先輩と話しすぎて、会場の人たちに引かれてたっけ。

“銀花”
“……、楽しいか、と柳先輩は聞きますよね!!”
柳先輩が口を開いた直後に言えば、凄く驚いてこっちを見る。

“銀花、とっても楽しいですよ。そりゃぁ、大変なコトもありますけど、みなさん良くして下さいますから。
 柳先輩こそ、銀花と一緒で楽しくないですか?? つまらなくないですか??”
必死に聞く、銀花に柳先輩はどう見えただろう。

“楽しいぞ。だから、また付き合ってくれ”
柳先輩の言葉に、ぱぁー、っと銀花の顔が緩むのが分かった。
“もっちろんですよ!! 柳先輩との他校調査、また一緒に行きます!!”

「あの時は、“嫌われたくない”ってので必死、だったなー」
今じゃもう、そんなコトを気にしなくても済むけども。

此処の場所[青学]は居心地が良くて、とっても気に入ってる。
でも、
向こう[立海]とどっちが良い、と聞かれたら、“私”はもう決まってしまう。

「立海以上に、気に入る場所なんて、あるわけ、ないじゃん」

輪廻が居る場所も、
唖李栖が居る場所も、
青学のみんなが居る場所も違うんだ。


赤也が居て、
ジャッカル先輩が居て、
ブン太先輩が居て、
柳生先輩が居て、
仁王先輩が居て、
柳先輩が居て、
真田副部長が居て、
幸村部長が居て、


それで、


“紅蓮”が居る場所が、一番良いんだ——————————————————————————……。





「欲張り、なのかな」





そんなコトを考えてたら、誰かにぶつかり、その誰かの持ち物が落ちてしまった。

「す、すいませんっ!!」
急いで、その持ち物を拾う。
そして。

「はい、どうぞ」
ニッコリ笑って答えると、ふわり、と懐かしい匂いに包まれた。

「え」
イヤだ、イヤじゃない、イヤだ、イヤじゃない。
頭がパニック状態で、何も言えなくて。
ただ、心地良いのは確かなんだ。

「銀花」
優しく呼ぶ彼は、ずっとずっと望んでたモノ[者]。
「ぐ、れん。離し、て」
離れなくちゃ、と頭の中で危険信号が出る。

「ヤダ。離さないよ、銀花」
嫌だ、なんてワガママ言わないで。お願いだから。
「だって、もう」
好きじゃないんだよ、なんて言えない。

「ねェ、銀花」

聞いちゃいけない。
ダメ。次を聞いたら、銀花は、きっと。








































































































































「——————————————————————————————————————大好きだ」

























































































































































































ほら、また貴方に溺れてしまう。