二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Chapterⅱ ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.281 )
日時: 2011/04/30 22:51
名前: うっさー ◆OOs7K0umK. (ID: bG4Eh4U7)
参照: 笑顔で、“おめでとう”って言うんだ!!

*+番外編+*



“ねェ、赤也”
“ん?? 何だよ、銀花”
“銀花たち、二人ぼっちになっちゃうね”
“………”


***

「切原ぁー!! ったく、アイツまたサボりか」

銀花は、黒板の前で立ちながら頭をかく先生を見る。
それから、銀花はゆっくりと“空席”の隣を見た。

(もう何度目だっけ)

銀花は、さっきまで居た“彼”を思って、悲しそうな顔になる。
きっと、もう何度目、と言うレベルではないくらいサボってるだろう。
それも、英語は必ず。と言っていいほど。
前は、どんなに嫌でも、出ていたのに。

「瀬戸内」
「はい」
「赤也、連れ戻して来い」
「はい」

このやり取りも、普通になってきている。
そして、周りの女子がコソコソと話すのも、日常茶飯事だ。

(誰も分からないよ。赤也の気持ち)

キッと、周りの女子を睨み付ければ、銀花は教室を出て行った。





***[屋上]


「赤也、みぃつけたっ!!」

赤也の視界に突然現れたのは、銀色のニコッと笑う少女。

「銀花。また、来たのかよ」
赤也はテニスボールを触りながら、溜息を付く。
「ちょ、“また”とはなによー。こっちは、わざわざ迎えに来てんの」
もう、と膨れて銀花が言うと、苦笑いの赤也。

「赤也。ちょっと、話そっか」
銀花はそう言って、彼の隣にちょこん、と座る。
屋上の心地よい風が、銀花の髪を靡かせた。

「んだよ、銀花」
不思議そうに言う赤也に、銀花はニコッと笑う。
「んー。銀花さ、赤也のコト“赤也部長”って呼ぼうかなー、って思って」
そういえば、彼は驚いてから怒った表情になる。

「何で」
そう問う彼に、銀花はクスッと笑った。
「何で、って…。面白いコトを聞くね、赤也は」
普段、彼女が見せないような表情をする。

「もう、“幸村先輩達”は引退したの。部長は、貴方。そう言われたでしょう??」
わざと、先輩達を強調すれば、彼はもっと悲しそうな顔になった。
「ねェ、赤也。銀花はずっと、赤也と一緒だよ。だから、心配しないでよ」
ふふ、と悪戯っぽく笑えば、赤也は少し笑う。

「なぁ」
赤也が聞くと、ん??、と不思議そうにする銀花。
「いや、なんでもねぇ」





***[卒業式]




「今まで、ありがとうございました!!」
ペコッと、彼女は先輩達にお辞儀する。

「あぁ。赤也のこと、頼んだぞ」
「俺たちもたまには、顔を出しに来るよ」
「赤也がお前に頼る確率100%。支えてやってくれ」
「頑張りんしゃい」
「お体には、気をつけて下さいね」
「たまに来るときも、ガム用意しとけよぃ」
「今までサンキュー。赤也のコトヨロシクな」

真田→幸村→柳→仁王→柳生→ブン太→ジャッカルの順番で話す。

「はい!! 赤也のコト、最後まで支えるつもりです」
ニコッと笑う銀花を見れば、紅蓮は彼女の頭を優しく撫でる。

「銀花。赤也と話があるから、その間に少し後輩達集めといてくれ」
紅蓮が言うと、銀花は頷き何処かへ向かう。
反対に赤也は、真っ赤な目で紅蓮を見た。

「泣きすぎなんだよ」
そう言って、くしゃくしゃっと優しく頭を紅蓮は撫でる。
そして、ネクタイを緩め、ニコッと赤也に向かって微笑んだ。

「いいこと教えてやるよ」
なんて、言う彼は企み顔。

「アイツさ、本当は俺と一緒にアメリカ行く予定だったんだよ」
ポケットに手を突っ込んで、紅蓮は笑った。
「でも、その予定蹴ってまで此処に居たい、って言ったんだ。何故だか分かるか??」
ふるふる、と赤也は左右に首を振る。

「お前や、お前の仲間のテニスが大好きなんだって。
 だから、一年でも多く、お前等の傍で、お前等を支えながら見ていきたい、ってそう言ったんだよ」

だから、と彼は続けると真剣な顔になった。










「ちゃんと、アイツを守ってくれよ。赤也」





その顔は、誰よりも寂しそうで、悔しそうな顔だった。

だから、赤也は力強く頷くと、ニカッと笑顔で先輩達に言ったのだ。


















































「先輩達、今までありがとーございました!! それと、卒業おめでとうッス!!!」










































































嗚呼、なんて、幸せな日。