二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Chapterⅱ ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.283 )
日時: 2011/05/20 21:45
名前: うっさー ◆OOs7K0umK. (ID: RAGGUceS)
参照: ねェ。もう一度、聞かせてよ。俺のコト、好き??

*+第三十二話+*


“大好きだ”

昔はその声をいつも聞いていたかったのに。

今は、こんなにも嫌だ、なんて思うなんて。

「離してっ…!!」

じゃないと、





頭の中が、グチャグチャで、





訳分かんなくなる。





「仕方ないなァ」
なんて、いつもの困ったような顔で彼は笑う。
「何でっ」
聞きたいことは、沢山ある。

何で今なの??
何で、あの時じゃなかったの??
何で、何で、何で。

簡単な疑問が、それでいて難しい質問が、頭の中でグルグル回っていく。

「でも、逃げないように、手だけ握るね」
二人で立って、手を握る姿は周りにとって異様だろう。
「逃げない、よ」
自分で言っても、本当かどうかなんて、分かんない。

「ばーか。嘘付いてる、って分かるんだよ」
彼は昔のように笑っていて、私をじっと見る。
「大丈夫。お前が俺を避けてる、ってのは何となくっつーか、分かるし」
今度は、少しだけ寂しそうだった。

「それでも、言いたかったんだ。大好き、って」

笑わずに、真剣に言う紅蓮。
最初に、告白されたときも、こんな顔だったっけ。
嗚呼、でも、今の方がカッコ良いかもなぁ。
なんて、下らないことを考える。

「相変わらず、自分勝手」
「そんなコト言うのは、銀花ぐらいなんだよ。俺、壁、作ってんじゃん??」
へへ、と笑った顔は決して笑ってなくて、むしろ諦めたような顔。

「自覚あるなら、直せば良いのに」
「自覚があるから、尚更、無理なんだよ」
「紅蓮、銀花は」

嫌いだよ。
って言おうとしたら、目の前の人物は、“しー”と言う仕草。
この仕草、好きだったんだよね。
立海で、唯一、紅蓮っぽい仕草だったから。

「その前に、俺の話し聞いて欲しいなー。って、アイツ等、探しに来ちゃったよ」

振り向けば、走ってきたのか、少し肩が揺れている立海メンバー。

「卑怯」
ぶすっと、しながら言うと、彼は溜息混じりに笑う。
「俺も知らなかったの」
そして、いつも通りに言うのだ。

「俺さ、お前のコト、知ったつもりで居たんだ。本当は、何にも知らなかったんだな」
悲しそうに笑う、そんな表情の原因を知っている。
「何で、知ってるの」
一句一句、間違わないように、銀花は言う。

「聞いたの。仁王とか、他の連中とか、にな」
紅蓮は、ニコッと笑った。
「仁王先輩の嘘吐き」
ボソッと、銀花はその場に居るであろう、彼に向かって呟く。

「詐欺師信じちゃ、いかんぜよ」
クックック、と独特の笑いで仁王は言う。
「信じてないです」
銀花は言うものの、目線は紅蓮だ。

「俺って、やり方知らないから、馬鹿みたいなコトしちゃったけど」
紅蓮はまっすぐ、視線を向けている。
「お前を守りたかった、ってのは本当。本人が居なくなってからだから意味ないけど」
そう言って、彼は少し笑う。

「銀花。もう好きじゃない」
「誰を??」
紅蓮がすかさず聞けば、銀花の表情は歪む。

「っ!! 好きじゃない、好きじゃない、好きじゃない!!」

好きじゃない、

“好き”じゃないの。

「嫌い、って言わなくなったな」
紅蓮はそう呟くと、優しく銀花の頭を撫でる。
「もしかして、コイツ等の前じゃ、“嫌い”って言えない、とか??」
ぎゅっと、銀花はジャージの袖を握った。

「安心して、銀花」

紅蓮は両手で銀花の頬を掴み、優しく上を向かせる。
「俺も、“お前と一緒”だから」
優しく微笑む彼と、反対に、驚きの表情を隠せない銀花。

「ば、か」
やっと出てきた言葉は、あまりにも弱かった。
紅蓮は、ぎゅっと、銀花を抱きしめる。

「俺はお前を否定しないよ。だから、もう楽にしてよ」

違う、

否定なんて、


「されてないよ。否定、なんて」


“ほらほら、辞めちゃいなよ。迷惑だってのに”

“マジいらないから”


「嘘だね。俺だって、頑張ったんだから」


“紅蓮クン達、迷惑してるじゃん。んなのも、分かんないわけ??”

“消えちゃってよ。みんなの前から、今すぐに”


「違う、違う」


“あーぁ、震えちゃって。そうやって、みんなに媚売ってるの??”

“アンタと一緒に居ると、練習出来ないんだよ”


「昔は、自分のこと“銀花”なんて言わなかっただろう??」


「っ!?」


頭の中で、考えたんだ。

どうやったら、自分を保っていられるか。

一生懸命考えて、

“いらない”って言われたときに、思い付いた。

嗚呼、

自分で、

存在を確かめれば良いんだ。

だから、だから、

誰にも気付かれないように、

いつもの通りに、

って言う風にしてたのにさ。










「銀花は、“此処に居る”。誰かが否定したって、俺はお前を否定しないよ」





ずっと、ずっと。

気付いて欲しかったんだ。

紅蓮に。

大好きだから、

私を、

認めて欲しかった。





「ぐ、れ」

溢れてくる涙を、止める術を銀花は知らない。





「ねェ。もう一度、聞かせてよ。俺のコト、好き??」































彼の言葉に、彼女は躊躇いなく、呟いた。







































































「大好きに、決まってんじゃんっ…!!」