二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Chapterⅱ ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.311 )
日時: 2011/08/12 20:56
名前: うっさー ◆OOs7K0umK. (ID: iEhb5hB8)
参照: 本編書けよ、とか突っ込んじゃ駄目!! 只今、スランプよ!!(キリッ


*+気まぐれな番外編1+*


「あぁ、分かってるよ。唖李栖、僕は大丈夫さ」

ガンガンに照りつける太陽の下で、彼は不気味に笑った。

「ふふ。簡単には……」
彼はそこで区切ると、上から下に居る人達を見下ろす。
「“騙されてなんかあげないよ”」
ガリッと音を立てて、彼の口内にある飴が割れた。


***[少し前のお話]


「えぇ?? 豪華客船で」
大石が驚いた声の後に、“テニス?!”と全員のハモった声。

「あぁ、そうだ。“桜吹雪彦麿”と言う大富豪が相当のテニス好きらしくてなぁ」
竜崎先生が話していると、ふいに“篠鞍零”は眉を寄せた。
「何でも、船上パーティーでのメインイベントととして行われる、エキジビションマッチに是非、青学[ウチ]に出てほしいと依頼があったんだ」
竜崎先生が言えば、“おぉ”と呟く3年達。

「船の上でテニスなんて、楽しそうだね」
不二が少し嬉しそうに言う隣で、零は口内にある飴を静かに転がす。
「凄い!! 俺、豪華客船なんて初めてだー!!」
タカさんが嬉々として言えば、菊丸も嬉しそうに笑う。

「やったねー!! おチビも初めてだろー??」
菊丸が前に居たリョーマに乗りかかりながら言う。
「いや…、俺は前にアメリカで」
リョーマが言うと、“にゃにおー!?”と叫ぶ菊丸。

「ね、ね!! 零は初めてでしょ!?」
ニコニコと笑いながら言う菊丸を他所に、桃城はガッツポーズ。
「あー。僕も何度か乗らさせてもらいました」
苦笑いで零が言うと、菊丸はガックリと肩を落とした。

(にしても、“桜吹雪彦麿”ねぇ…。そんな財閥の名前、聞いたことない)
桃城と海堂が言い合う中、零は違うコトを考える。
(ま、全部の財閥知ってるわけじゃないけど、ねェ??)
零は思ったのだ。

“そんなにテニス好きならば、暁野宮 輪廻、を呼ばないはずがない、と”

(でも、“それ宛”にその人から来た覚えはない。んー、どういうコト…??)
彼が真面目に考えていると、“おー!!”と言う大きな声。
「え??」
彼の驚きの声も空しく、零は強制参加、となった。


***


「あーぁ、やってるやってる」

彼は、ベンチに座らず、観客席にも座らず、一番高いとこで立って見ていた。

「相変わらず、先輩達って“テニス馬鹿”だよね」
そこが良いとこなんだけど、と付け足すのも忘れない。
「でも、流石だよな、大石先輩。誰と組んでもブレないなんて」
尊敬するよ、と彼は肩を竦める。

「おーい!!! 零!!」
下から名前を呼ばれて、ゆっくり見れば、そこにはプールに居たはずの先輩ら。
「あれ、桃先輩達じゃん。あー、試合やりに来たのか」
手を使って聞いてみれば、激しく頷く桃城と菊丸。

「僕も行け、ってことかなぁ」
仕方ない、と呟けば、彼は軽やかな足取りでコートに入っていった。



「あれ、零はジャージじゃないの??」
「いつものコトじゃないですか、不二先輩」
「そうだね。それにしても、機嫌悪いんだ」
「何ですか、その固定。わざわざ、聞かないで下さいよ」

零と不二が言い合っていると、必ず最後に笑うのは不二。
現に今だって、笑いを抑えていた。

「相変わらず、ツボの分からない先輩ですね」
零が不二を横目で見ると、彼は笑いが収まったのか、零を見る。
「ふふ。それより、零。僕とダブルス組もうよ」
不二が言えば、零はコートから不二に視線を移す。

「えー?? じゃぁ、俺余りじゃん。また見学かー」
ぶー、としながら菊丸は言う。
「あ、僕でよければ、代わりましょうか??」
零が言えば、“ホント?!”と声のトーンが上がった菊丸。

「えぇ。敵に自分の弱点を見せるほど、馬鹿じゃないんで」
零がベンチに座ると、不二はクスッと笑う。
「じゃぁ、みなさんは暢気にダブルスの試合でもどーぞ」
ガリガリ、と激しい音を立てて、彼は飴を噛み砕く。

その姿を見て、桃城と菊丸は冷や汗が止まらなかった、とかなんとか。


***


「初っ端から、ツイストサーブとか。“賭け”は多くなりそうだね、リョーマ」

ふふ、と零は頬を緩めると、ポケットに入っていた携帯を取り出す。

「う〜ん、相変わらず電波の調子はよくないみたいだなぁ」

そこには、立ったり立たなかったりの電波。

「ま、僕は僕のやるべきことをやれば良いんだけどね」

ふふ、と笑ったのと同時に、彼らの試合が終わる。
不二、菊丸ペアがやっぱり勝ったらしく、零はそれを見ると立ち上がった。
そして、みんなの元へタオルを持っていく。
完璧に“マネージャー”にしか見えないであろう。

「退きな、餓鬼共」

低い声と共に現れたのは、背の高い男達。
零はそれを見ると、キッと睨み付ける。
誰にも気付かれないように。

「遊びの時間は、終わりだぜ??」
桃城達は不思議そうに彼らを見た。
「あ、アンタ達は…??」
尤もな質問をしたのは、桃城。

「後で、お前らと試合する相手だよ」
上から目線で男が言えば、零から自然に出た舌打ち。
「なんだよ、そこの餓鬼」
男が聞くと、零はヘラッと笑う。

「いや、別に。僕は、ちょっとやることあるんで、先に戻りますね」
零はパーカーのフードを被ると、ポケットに手を突っ込んで歩く。















「さァて、僕もそろそろ動こうかなァ…??」


***


「あ、もしもし。跡部さん、“これ”超役に立ちます」
零は机の上のモノを見ると、笑みを零しながら跡部に言う。
“まぁな。俺様の家が船上パーティするときに使う道具だからな”
当たり前だ、と言うように、跡部は上から目線。

「ふふ、そうでしたね。……、こんなボロボロの船じゃ、すっごく役に立つ」
“ボロ船、だと?? お前、今、何処に居るんだ”
「海の上」
“馬鹿にしてんのか。財閥名を言え”

それと同時に、ガリッと音を立てて、零の口内の飴が砕ける。

「“桜吹雪彦麿”とか言う、馬鹿な人だよ。跡部さん??」
零は、ニヤリとキレイに妖しく笑った。
“っ?! じゃぁ、テメェ、もしかしてっ”
跡部の言葉に、ふふふ、と零は笑う。

「勿論、“青春学園男子テニス部準レギュラー篠鞍零”として、来てますが??」
“なんで、それを先に言わねぇんだっ”
「言ったら、行かせてくれなかったでしょう?? 僕は、唖李栖を説得するので疲れるんだよ」
“……、だから、機嫌悪かったのか”

零がニッコリ笑って固定の言葉を言えば、向こうからため息。

「じゃぁ、跡部さん。人が来るんで」
零が切ろうとすれば、跡部の制止の声。
“気を付けろ。何かあったら、すぐ電話しろ”
「勿論です」
零はニッコリ笑って言うと、通話を切った。





















































































































































僕の手の中にあるのは、折りたたみ式のナイフ。