二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: [銀魂] 刀を持った桃太郎⇒20up ( No.111 )
- 日時: 2010/09/19 15:34
- 名前: 偉薔薇 ◆aWifV7VEAQ (ID: Xi0rnEhO)
__第21話__
(わー……美人さんが二人)
凛とした表情でこちらを見る女性は、とても可憐だ。
総悟同様亜麻色の色素の薄い髪、真ん丸の瞳に白い肌、華奢な体。
顔が総悟に似ているところを見る限り、彼女が総悟の姉だと言うのがよく解る。
その姉の隣にいるのは、黒く長い髪を一つに縛っている男性。
瞳孔こそ少し開いてはいるが、切れ長の瞳はクールさを醸し出している。歳はきっと銀時達と同い年だろう。
二人が並ぶ姿は宛ら美男美女カップルのようだった。それほど二人が美しいのだ。
「総ちゃん、お友達が出来たの?」
「案外彼女だとか言ったりしてな。色気付きやがって」
「違ェよ、俺の彼女になる奴はもっと胸がなきゃダメでィ。死ね土方コノヤロー」
総悟の姉が自分は誰か問えば、隣の男性がおちょくるように彼女かと言って来た。
総悟は至極嫌そうに顔をしかめ違うと否定をした(と言うか六歳児に胸とは無理な話だ)。
そして、山林で自分が迷子になっていたので連れてきたと説明をした。
加えて総悟では街まで連れていけ無いので連れて行って欲しいと願い出た。
「あらあら、あなた迷子になっちゃったの?」
「うん……」
「そっか。じゃあ街まで案内するわね。そんな不安そうにしなくても大丈夫よ」
泣きそうな自分の心情を察してか、安心出来る言葉をかけると同時に、頭を優しく撫でてくれた。
頭を撫でてくれた事に安心し、逆に涙が込み上げて来てしまう。
総悟の姉はそんな初愛を見てフフと笑い、ちょっと待っててねと皆に伝えた。
そして、そそくさと家の奥へと消えて行った。
きっとすぐ戻るとは思うが、生憎銀時達がいない今、一番安心する存在は彼女だ。
少しいないだけでまた不安な気持ちになってしまう。
「うー……」
「……なに泣きそうな面してんだ。大丈夫だ、帰れるからよ」
「土方の瞳孔開いた目が怖いんだろ、こういう時くらい瞳孔閉じた方が良いんじゃないですかィ?」
「ンだとこの糞餓鬼!!」
泣きそうな初愛を見てぶっきらぼうな言葉をかけた彼が、総悟の言っていた土方コノヤロー、つまりは土方。
その土方に対し総悟が貶す言葉をぶつけた。
その直後、その体格差や年齢差関係無しに突如胸ぐらを掴み合い睨みあい始めた。
それに驚き、涙も引っ込んでしまった。
「大体お前は年下のくせに生意気なんだよ。
確かに道場では先輩だがなァ、普通にすれば俺の方が先輩なんだからな」
「その年下相手にムキになるたァ、土方さんもまだまだ餓鬼だねィ。
餓鬼相手に怒鳴ってやんの、プッ、恥ずかしー」
「……テメェェェェ!!」
胸ぐらを掴みながら口喧嘩を始めたかと思えば、総悟の言葉に血が上ったらしい。
土方は腰にあった木刀を総悟に力任せに振りかざした。
ところが、総悟の方が一枚上手のようで、土方の攻撃をひらりと上手く身を捩っては交わしていく。
その素早さは半端なものでは無い。
(……あれ? なんか、似てる…)
最初こそ、突如喧嘩を始めてしまいどうしようかと戸惑った。
しかし、この光景がある人物達と重なってしまう事に気付いた。
怒り狂う土方は銀時で、ヒラリとかわす総悟は、桂か、もしくは高杉に。
いつも桂や高杉は銀時を挑発し面白がっている。
そしてその挑発に乗り剣を振り回すのは銀時。自分はその光景を面白おかしく見ているのだ。
「フフフフ……あははは!」
「……は?」
「初愛?」
自分が突如笑い出したからだろう、二人は喧嘩をピタリと止め訝しげな表情でこちらを凝視して来た。
大丈夫かと総悟に問われ心配される程だ。
「フフ……大丈夫。あのね、二人が知り合いに似てるんだ」
「知り合いに……かィ?」
「うん! 二人は、本当に仲が良いんだね! 喧嘩しながら楽しそうだもん!」
喧嘩する程仲が良いと言う言葉は、最もだと思う。
感情をぶつけ合えると言う事は、何だかんだ信頼が無いと出来ないだろう。
本当に嫌いなら、目を合わせるのも嫌なはず。
しかしこうして、二人は喧嘩をしている。それは互いを信頼していると言う事。
喧嘩は悪い事ではない、喧嘩をする事で解り合える事もあるのだから。
「……仲良くなんてねーよ、誰がこんなやつ」
「あ? 俺だってお前みたいな餓鬼は願い下げだ」
「嘘ばっかりー。総悟君も土方コノヤローさんも、顔はそんなに嫌がってないよ?」
口では散々言うが、顔はちっとも嫌がってはいない。二人とも、意地っ張りなだけだ。
現に照れているらしい、二人の頬は少し赤く染まっている。
素直じゃないだけ。本当は、信頼しきっている。
(良いなあ……男の子って)
男の子は、思い切り言い合って思い切り力でぶつかりあう。だから互いを理解し合えるのだろう。
故に信頼も厚い。
自分には、信頼する人達はいる。
しかし、彼等と同等にはなり得ないのだ。