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　【第６話＊憎悪の刃】



鏡に映った少女は言った。


「支えを失えば、全ては脆く崩れていく」



ジャキンッ。



—————。


糸を切られた人形が落ちた。


ジャキ、ジャキ、ジャキ。


糸を切ったハサミが少女の顔の近くで音を奏でる。
刃が交わるたび、赤い糸の束が床に広がった。
赤い糸は、彼女の髪は、どんどん切れて落ちていく。

不意に少女は髪を切る手を止めた。
そして鏡に向かって思い切り振り下ろす。


ピシィィイィッッ。


鏡に亀裂が走った。
細かい破片がぱらぱらと落ちる。

少女は拾い上げた人形の頬に唇を寄せて呟いた。


「……赦さない」


人形を持つ手に力がこもる。


「赦さないわ、セシル・ブランジーニ。
　あなたも私と同じ苦しみを味わえばいい」





——————ガシャンッ……。





鏡に突き刺さっていたハサミが、重力に負けて床に落ちた。