二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 木と蝶と小夜曲*REBORN/第8話更新 ( No.42 )
日時: 2010/11/12 22:45
名前: 涙水 (ID: wUKiQGwj)

 【第9話*二人の少女】


「うーむ、これは譲葉のものに間違いないねー」

壊れた携帯を、それについたストラップで持ち上げながら少女が言った。
橙色に近い茶色の髪は肩につくかつかないところで切りそろえられていて、壊れた携帯を映す瞳は赤く輝いている。

「ずいぶん破損してるわね……。
 ……あの子、大丈夫かしら」

不安を滲ませた声で話したのは、茶髪の少女の数歩離れた所に立っていた少女。
紺碧の長い髪を後頭部でひとつにくくり、くもりのない漆黒の瞳が大人びた印象を抱かせるが茶髪の少女と歳はそう変わらなさそうだった。

「安否は分からないけど……、携帯がこんな状態でこんな場所に落ちてたんだから、何かあったことは確かだよね」

茶髪の少女が視線を動かした先には、えぐられたコンクリートの塀と電柱がある。
警察がかけたのか、あまり見えないようにブルーシートがかけられていた。

「そうみたいね……。
 ……とりあえず譲葉を捜しましょう。
 あの子に会わなければ安否も確かめられないのだし。
 居場所、分かりそうかしら?」

紺碧の髪の少女がそう問うと、

「まだこの辺りにいるなら、今私達がいる並盛っていう町か、隣町の黒曜ってところにいると考えるのが妥当かなー」

茶髪の少女が方向を指で指しながら答える。

「なら二手に別れましょう。私は隣町に行くわ。
 こっちは任せていいかしら?」

「もちろん」

茶髪の少女は頷いて笑顔を見せる。

「今、私達が最優先すべきことは譲葉を見つけることよ。
 戦闘や目立つ行動は避けること、いいわね?
 それじゃあ後でね、健闘を祈るわ、日向!」

「合点承知ー!
 なるべく気をつけるよ。
 そっちも頑張ってね、汐璃!」

踵を返した二人の少女——日向と汐璃は、反対の方向へ走っていった。