二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 木と蝶と小夜曲*REBORN/第11話更新 ( No.55 )
- 日時: 2010/12/21 21:14
- 名前: 涙水 (ID: 7p3dbO1m)
【第13話*茶色から紺碧へ】
「どこまで行くの?
あの部屋出てから結構歩いたけど」
きょろきょろと辺りを眺めながらついてきた日向が尋ねた。
「もう少し。
三棟の端にある資料室まで」
彼女の前を歩く雲雀は、少し後ろを向いて返事を返すと、また前を向いて歩いていく。
そっけない彼の返事に、
「ふーむ。
そんなところに個人情報があったとはねー」
いつもの調子で応えると、歩調を速め雲雀の隣に並んで歩き出す。
眉根を寄せた顔を見せてきた雲雀に、日向は満面の笑みを向けた。
それに溜め息を返すと雲雀は、
「……で、君は誰を探しているの?
協力するんだから、それくらいは教えてくれるよね?」
歩きながら尋ねる。
「うー。
あんまり言いたくないんだけどなぁ。
でもでも、しょーがないっ。教えるっ。
んとね、わたし達が探してるのは成瀬譲葉っていう女の子。
髪は金色のセミロングで、黄緑の瞳をしたわたしと同い年くらい」
「金髪に黄緑の目色なんて、その子外国人なの?
そのわりには、やけに日本人っぽい名前だね。
そういえば、君も赤い目をしてるくせに名前が日本語だし。
どこから見ても日本人には見えないけど」
染めてたりするわけ?、なんて言う雲雀に日向は手を振って、
「違う、違うー。
譲葉もわたしの目も元からだよぅ。そんでもって正真正銘外国人っす。
名前が日本語なのは、ちょっと理由があってねー。詳しいことは教えられないんだけど」
「……ふーん。まあいいや。
君の名前が何語でも僕には関係ないしね。
そういえばさっき〝わたし達〟って言ったけど、君以外にも誰かいるの?」
「あー、うん。
怒らすと大変なひとー。
汐璃っていうんだけど、手分けして探してるから今は隣町に行ってる」
「へぇ……」
『隣町』に悪い思い出しかない雲雀が顔をしかめたのに、気が付かず日向は呟く。
「汐璃、元気かなぁ……」
靴の下で砂利が地面に擦れる。
「いないわね、譲葉。
あの子はどこに行ったのかしら……」
紺碧の髪を揺らして少女は呟く。
「それにしても……」
歯切れ悪く言う少女が顔を上げると、
「ここって……廃墟?」
木が鬱蒼と生え、今にも倒壊しそうな建物があった。