二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 木と蝶と小夜曲*REBORN ( No.6 )
日時: 2010/08/27 21:05
名前: 涙水 (ID: yxu7BdpM)

 【Prologue*prologueⅡ】


…ちりん。


ちりん、ちりん、ちりんっ。

「……はっ…はっ」

夜の町をひとり走る少女がいた。
闇に溶け込むような暗い色のコートを着て、大きな箱のような鞄を肩からかけている。
そして胸元には、反射した月が映る鈴が鳴り響いた。
息せき切らした彼女は、ふとコートのポケットに振動を感じ、その根源である携帯を取り出し耳元にあてる。

譲葉ゆずりは、無事っ?』

よく知る仲間の声が聴こえた。
切れ切れの息で返事を返す。

「…しっ、汐璃しおりちゃん?
 たぶん大丈夫だと思うっ。ふっ…二人は? 大丈夫、なの?」

ちりんっ、ちりんっ。

『私は無事よ。
 日向ひなたとは別行動をとってるから安否は分からないけど、今のところ向こうからの連絡がないから無事だと思うわ』

「…そう、良かったっ。
 このぶんなら…、明け方には合流でき……!」

『譲葉?』

突然少女が言葉を切る。
不審に思った電話の相手が伺うように名前を呼んだ。
それに応えずに、少女は路地裏へと身体をすべらす。

「……ちょっと待って」

小声で少女が言った直後に、路地の隙間から歩いていく人影が見えた。
人影が去ったのを確認すると、少女は路地の隙間を注意深く見ながら再び携帯に話しかける。

「…通り過ぎたみたい。たぶん奴らだと思う」

『大丈夫なの? 見つかってない?』

「うん、大丈夫。
 さっきの続きだけど、このまま奴らを撒けるみたいだったら、明け方には一度みんなで合流しよう。
 本部の状態もどうなってるか分からないから」

『了解。場所はどこにする?』

「どうしようかな…。
 いまいちここがどこだか分からないからなぁ」

『目印になりそうなものとかはない?』

「目印しかぁ……」

応えながら辺りを見渡す。
あるのは住宅ばかりで、目立つものはなさそだった。

「特にないみたい。どうしよう…?」

「だったらおとなしく捕まればいーんじゃない?」

「——ッッ!?」






—————————………ちりん。



ちりん。



ちりん。



ちりん……。