二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 木と蝶と小夜曲*REBORN/第13話更新 ( No.60 )
日時: 2010/12/31 21:21
名前: 涙水 (ID: u9X0wFGj)

 【第14話*黒曜ヘルシーランド】


荒れ果てていて、お世辞とも綺麗とは言えない廃墟のような建物の中に3つの影があった。

「……あ」

3つの影のうちの1つである、小柄な少女が声を漏らした。
彼女の名前はクローム髑髏どくろ
黒曜中学の制服を着ていて、真ん中分けの短い黒髪に右目を眼帯で覆っている。

「ああん? うっせーびょんっ!」

喧嘩腰にクロームに食ってかかったのは、ボロボロのソファーの上に座ってゲームをしていた少年。
名前を城島犬じょうしまけんといい、3つの影のうちの2つ目だ。
特徴的な口調にぴょんぴょんとはねた髪をした彼も黒曜中学の制服を着ている。

「…ごめん……」

クロームは謝って、それきり黙ってしまう。

「……」

「…………」

「………………あーっ、だからなんなんだびょんっ!
 言いたいことあるなら言えっっ、ブスッ」

しばしの沈黙の後、それを破ったのは犬。

「……ご、ごめん」

再びクロームが謝る。

「クローム、どうしたの?」

クロームに呼びかけたのは、3つ目の影の柿本千種かきもとちくさ
ニット帽をかぶった細身の少年で、彼もまた黒曜中学の制服を着ており、縁のある眼鏡を押し上げながら問う。

「あ……うん、あの」

慌ててクロームが呟くような声で言った。

「……侵入者…」
























「かなり荒れてるわねー……」

地面に落ちている窓ガラスの破片を踏みながら少女はひとり呟く。
名を柳澤汐璃やなぎさわしおり、というその少女は後頭部に結い上げた紺碧の髪を揺らして歩いていた。

彼女がいるのは『黒曜ヘルシーランド』と書かれた看板が落ちかかっていた、建物の中。
人捜しに並盛町から黒曜に来て、一晩捜し回り残るはここだけとなったのだ。

「人の気配すらないわね。
 まぁ、こんなところに人がいる方がおかしいんでしょうけど……。
 やっぱりハズレだったみたいね」

周囲を見渡し息をついた。
帰りましょっと、と呟き踵を返した時、

「……ッ!」

いきなり何かが襲ってきた。
汐璃はそれを、かがんでかわす。

すぐに襲ってきた何かが着地した方を向くが、建物の陰で正体が分からない。

「野良犬?
 それとも………きゃっ!」

言葉を言い終わる前に、次は後方から攻撃される。
足元を確認すると、どうやら無数の針のようだ。

「何? 誰かいるの!?」

周囲を警戒しながら叫ぶ。
当然相手は応えてくれるはずもない。

意味ないけど、と思いながらももう一度叫ぼうとした時、背後で何かの気配を感じた。
すばやく振り向いて、汐璃は思わず声を漏らした。

「……え、女の子?」

身の丈程ある槍を振りかざしていたのは、眼帯の少女だった。