二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: [色々]貴方に幸せを願おう[短編] ( No.24 )
日時: 2010/09/05 08:21
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: plHoLMhK)

(イナズマイレブンより塔風)
[ほのぼの/甘め/



【平等なのです】





 「かーぜーまーるっ!」
 「うわっ、びっくりした……何だ、塔子か……」


 背中に抱きついてきた塔子は、してやったりというように目を細めた。俺はというと、スポーツドリンクを飲んでいたので、ごほごほと咳き込む。鼻からスポーツドリンクの風味がする。プールで溺れた時の、小学生の頃を思い出した。


 「風丸? 何だよ、何か顔色変だぜ?」
 「…………いや、何でもごふっ……ない……」


 プールで溺れたというワードに、俺の中のトラウマが顔を覗かせる。出てくんなと頭を振り、同じようにスポーツドリンクの苦味を振り切る。その様子を見ていた塔子は、少しテンションが下がった俺に向かって不満気に唇を尖らせた。何でだ? 疑問がわく。


 「塔子、どうかしたか? 唇尖ってるぞ」
 「………………つまんない」
 「え?」
 「つまんないって言ったんだよ」


 あまりにも場違いなことを言われ、俺はしばらく首を傾げる。つまり意味がわからないってこと。やがて、塔子は不思議そうな顔をしてる俺から視線を外すと、未だ唇を突き出したまま、もぞもぞと口篭り始めた。


 「……普通さ、女の子が抱きついてきたら真っ赤になったり、照れたりするじゃん! 風丸はアタシがそういうのしても全然反応してくんないから…………アタシばっかりどきどきしてさ、風丸ずるいじゃんかよ」


 つまんない、と。塔子は恥ずかしげに呟いて顔を伏せた。……え、反則だろ。心の中の第一声はそれだった。


 「なぁ、塔子」


 だけど、その表情を見ていると、無意識の内に帽子が乗った小さな頭に向かって言葉を零していた。


 「俺だって、塔子と同じだよ」


 平然と言い放った俺。だけど、だんだんその言葉の意味を理解して————言った本人が真っ赤になった。何言ってんだ、と頭を抱え込みたい衝動に駆られる。いや、現実の俺はそのままぽかーんと立ってるけど!


 「…………風丸」
 「な、何」


 長い沈黙に耐えられなかったのか、顔を上げた塔子が、どこか抜けた表情で話しかけてくる。対して俺は、余裕が無いので何と言うのが精一杯だった。


 「同じなのかよ、アタシも風丸も?」
 「あう、うっ……そ、そうだよ。同じ、だ」
 「そうか」
 「そうだ」


 同じ、同じ…………しばらくの間その言葉ば.かり呟く。そして、塔子は抱きついてきた時と同じような、不敵な笑みを浮かべた。いや、満足気ともいえる。次に、嬉しそうに一言述べた。



 「じゃあしばらく、このままで良いかな」



 いや、それじゃあ俺の気持ちがもたないんだが。
 俺の心中の嘆きなど知らないまま、塔子はすっかり緩んだ笑顔で俺の背中に抱きついてきた。…………どうやら、しばらくこのままらしい。体勢的にも感情的にも。


 「……やっぱ、塔子の方がずるい……」



 最後にそう呟いたなんて、言えやしない。
 
 




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塔風と円塔が好きになったお!
ていうかむしろ塔→円←風状態が美味しいです、三角関係キター!
…………あれ、ちょっと別館ネタになってね?