二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: [色々]ララバイ・ララバイ![短編] ( No.4 )
日時: 2010/08/27 08:31
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: yYfUSrVZ)

(プシュケの涙より彼方+宛)
[シリアス?/ちょっとネタバレ]



【見えなくて良かったと安堵する】




 「……何で飛び降りたんだよ、カナちゃん」
 「見たかったんだ」
 「見たかった?」


 お見舞いにくるカナちゃんのクラスメートは、あんまいない。母さんが病院のことを担任に伝えてないからだと思う。母さんと父さんは? もちろん、カナちゃんがどんな性格なのかよく分かってるから、もう放っておいてる。カナちゃんの性格をよく知る人だったら、こういう時にわざわざ会いに来ないしね。
 ……以上の考察により、休日の昼間は俺とカナちゃんしかこの病室にいなかったりする。
 だからこそ、俺は今日、ずっと聞きたかったことをカナちゃんに言った。カナちゃんは痛みで動かせない顔を、少しだけ俺の視線からずらすと、ぽそっと答えを明かした。


 「何が見たかったの?」
 「…………吉野が見た色とか、世界」
 「………………………………………はぁ?」
 「ずっと、見たかったんだ。俺」


 カナちゃんの言う吉野……吉野彼方は、1ヶ月程前に理科室から飛び降りた。いや、彼女が飛び降りるはずは無いだろうから、きっと誰かの手が加わっているんだろう。その秘密を解き明かす勇気なんて、俺にはないけど。たぶん、カナちゃんはその秘密を知ってしまったんだと思う。だからいたたまれなくなって、こんな風に、自分も理科室から飛び降りたんだ。
 そう思ってた。なのに——————


 「見えなかったんだよ、アーちゃん。見てたはずなのに。ちゃんと目は開いてたはずなのに、何にも思い出せない。記憶に残ってないんだ……」
 「見えなくて良いよ」
 「え?」
 「……見えなくて正解だった、って言ってるんだよ。カナちゃん」


 カナちゃんはただ、吉野彼方の最後に見た世界や色を感じたかっただけだなんて。そんな簡単なアンサーが出るなんて、俺はどうも信じることができなかった。
 俺はこっちを驚愕の眼差しでみつめているカナちゃんに、悟るように語りかける。


 「きっとそれは、生きている人には見れない色なんだよ。だから……カナちゃんは見なくて良い、いや、見ちゃ駄目なんだよ。たとえ、一生その色が空白になってしまうとしても、ね」
 「…………そうか、生きている人は……か。ふーん、アーちゃんって面白いこと言うな」
 「馬.鹿カナちゃん」
 「知ってる。…………でもさ、アーちゃん」
 「何?」


 くつくつと肩を揺らして笑うカナちゃんは、いったん言葉をとめると、虚空を見つめた。まるでそこに、いない吉野彼方の面影を感じているかのように。それを見つめるカナちゃんの瞳は、悲しみやら愉快さやら、様々なものが入り混じっていて。


 「……その色が見られずに骨折り損をした、今から。俺は、ずっと苦しまなくちゃいけないんだよ。ずっとずっと、吉野が描き途中だった絵のあの空白にどんな色が、何が当てはまるのかを……俺は自分の絵にサインを入れるたび、傷ついていくんだと思うよ、たぶん」


 同じ名前だしね、と苦笑するカナちゃん。その表情も、凄く無理に笑っているような気がした。苦しそうに、泣きそうになりながらも、カナちゃんはそう笑った。そんなカナちゃんを見て、兄貴である俺は「泣いても良いよ」なんて、優しく出来なくなって。
 だから、聞いた。

 
 「ねぇ、カナちゃん」
 「何? 俺もう眠い」
 「いつも寝てるでしょー? ……あのさ、カナちゃんは、死.にたかったの?」


 カナちゃんは俺がそう問うのを知っていたかのように、またくすくすと小さく微笑した。そして、青く澄み渡る空を一瞥しつつ、口角を吊り上げて言う。


 「……そうだったら、良かったのにな。俺も、吉野も」
 


 どこまでも深い青を持つカナちゃんは、もう笑わなかった。




*****

意味不明でも良い、文章力がなくても良い。
ただ努力ができる子供になりtごめんなさい意味不明だし文章力ねーし努力で片付けれる問題じゃないわ!

わーい次は新セルだー