二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.40 )
日時: 2010/09/05 19:20
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: 3P/76RIf)

 第十八話 多重人格

 *
 マジありえないから!
 *

 今日は日曜日。郵便配達もお休みだから、リュウジくんが外国の諺の本を熱心に読んでる。
 はぁ〜、なんか疲れたなぁ。
 溜息をつく。ちらっと見ると、リビングではカゲトとマキちゃんがテレビを見てる。
 マキちゃん、隙あらばウチに来るの。で、いつの間にかすみついてた。
 そしてマキちゃんは私の部屋に住んでいる。同じ部屋で寝るなんて十年早いんだからね!
 そしてそして、この二人、隙あらばぴたっとくっついてラブラブモードに突入しているのです。あっ、今マキちゃんがカゲトの頬にキスを○△@……。
 でも、リュウジくんは家に居たほうが安全かもしれない。
 転んだり怪我したりして血を見て暴走されても困るし。
 このあいだキスされちゃったからな、どうやって近づけばいいかわかんない……。
 それにもし、一郎太が実は遠くで私のこと見てたら?
 私、どうしたらいいの?
 ふぅ、と一息して、リュウジくんが本をパタンと閉じた。
 それからラブラブモードのマキとカゲトを見て、ちょうどいいや、と笑った。
 それから、身振り手振りで、私についてくるよう言う。
 我が家は二階建て。で、屋上がある。可愛らしくバードサンクチェアリつくったり、花を植えたりしている。
 私とリュウジくんは屋上へいく。
 リュウジくんが微笑んでる。なんか、変。
 あの人懐っこい笑みじゃなくて、なんかちょっと凛々しい。
 一気に大人になったみたい。
 リュウジくんの笑みがふっと消えた。
 え、なんだろう、この感じ。
 リュウジくんの顔が真剣になる。

「リュウ……」

 その後は言えなかった。
 唇が塞がれてたから。
 子犬みたいな黒い目を閉じて、リュウジくんは、細い腕で私を包み込んでいる。
 やっぱ、私のほうが背が高いみたい。
 あれ。あたし、少しも焦ってない。
 免疫っていうやつ? 同じ人に二回目もキスされたから?
 でもありえなくない? そう言うのって?
 よくわかんないけど! ま、そういうことにしておこう。

「好き」

 唇を離したリュウジくんの最初の一言。
 顔が赤くなってく。
 リュウジくん、と<潜む者>レーゼ。
 なに? 私、二重人格の両方の人格に好かれちゃったってこと?
 マジありえないから!

「待つよ」
「……え?」
「だから、答えをくれる? ノーでも、きっと諦めないから」
「……」

 私はなにも言えなかった。
 でも、リュウジくんはそれを承諾だと思った見たい。
 待ってるよ、と笑みを見せて下へいっちゃった。
 二重人格って思ってたけど、訂正。多重人格だ。
 レーゼでしょ。人懐っこいリュウジくんでしょ。凛々しい緑川くんでしょ。
 多重人格だよ、コレ!
 どうやって答えたらいいんだろう?

 *
 だから、答えをくれる? ノーでも、きっと諦めないから。
 *