二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.44 )
日時: 2010/09/07 18:05
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: lL8RIxSj)


 第二十話 エリの姉

 *
 風丸くん、サッカー部やめちゃって。
 *

 夏だからだろうか、放課後でも、まだ太陽が煌いている。
 私は教室で、机に頬杖をついていた。
 それは誰にとっても惜しい結果だったに違いない。
 イナズマジャパンの風、風丸一郎太の離脱は。
 はるちゃんの一言が、私の肩にのっかかる。
 たぶん、彼は二見さんと長い時間を過ごそうとしての決断なのだろう。
 そう思ったら、心がズタズタに引き裂かれるような感じがした。
 気付いたら、私は、眠りと言う名の深い海へと沈んでいった。

「ん……?」

 汽車に乗ってる夢を見た。
 がたんごとんがたんごとん、不安定に揺れている汽車。
 その中で、私は名前を呼ばれて、目が覚めた。
 目の前には、見慣れた風景。
 そして、緑色の柔らかい、絹のような髪。
 すっと指を通す。天然パーマなのだろうか、絡まりあっている。
 無理矢理指をしたに引っ張ろうとしたら、いたっと言って彼は振り返った。
 ——緑川リュウジ。
 
「リュウジくん……?」
「あぁ、やっと起きた!」
「エリったら相変わらずよく寝るんだから」
「ああ、全然変わらんな」
「お義姉さん、今日は早起きしましたもんね〜」

 栗松と同じくらいの身長の少女。
 栗色の、ウェーブした長髪が可愛らしい。
 どっかの学校の制服を着ている。
 今の状態を整理すると……。
 私は、リュウジくんにオンブされている。オーマイゴット、下ろせぇ!
 そして、栗松と同じくらいの身長の少女、一見小学生だけど、実は高校三年生、私の姉。
 その隣に並んでるのはカゲトとマキ。
 うそ、まじかよ!

「ミリ姉(ねえ)!」

 彼女は黒田ミリ、私の実の姉。現在イタリアに絶賛留学中……だったはずなんだけど。
 生まれたときからちっちゃかったからミリって名前になった。
 ミリ姉は私より三歳年上。成績優秀、品行方正。そんでもって優しい、素晴しいお姉さん。
 ただ、我が誇りの姉は、身長を私に奪われてしまったらしく、いまだ小学生体型を維持中だ。
 
「なんで、イタリアにいるはずじゃ、」
「フィディオがカツ丼、デモー二オは寿司を土産にもってこいって言われたの。あっ、フィディオとデモー二オ、知ってる?」
「知らないって!」
「ま、そういうことで、今晩とめて」
「えぇ!?」
「えぇじゃないの。エリったら、口の悪さをどうにかしなさいよね」

 私はただただ呆然とするしかなかった。
 そしてトドメの一撃は、リュウジに、

「あとで、屋上に来い」

 と、レーゼっぽい声で言われたことだった。
 黒田エリ、15歳にしておふくろと姑と恋する乙女の気持ちを感じた女。

 *
  リュウジくんにオンブされている。
 *