二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.45 )
日時: 2010/09/07 18:09
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: lL8RIxSj)

 第二十一話 緑エリ

 *
 リュウジくんに呼ばれた——屋上に。
 *

 
 いってみると、<潜む者>——レーゼ状態になっていた。
 
「なぁ、」

 両足で交互に黒いサッカーボールを蹴りながら、レーゼが口を開いた。

「風丸一郎太の家はどこにある?」
「えっ、あっちだけど……」

 東の方を指差す。
 レーゼが私の目を見る。嘘をついているか試されてるみたいで、ヤなかんじ。

「じゃあ、今から破壊しにいこう」

 ボールを蹴り上げる。
 重力に引っ張られて落ちたボールを右足で思いっきり踏みつける。
 なんでボールがパンクしないのか、不思議なくらいだ。

「破壊しようって……だめじゃない!!」
「何故だ?」

 黒い目がじっとこちらを見つめる。
 ちょっと、言いたくなかった。
 元カレだからって。
 言ったら火に油を注いでるみたいなことになるかもしれないじゃない?

「なぜだって……サッカーの仲間だからよ」

 冷笑するレーゼ。
 ぞわりと背筋がたつ。

「好きだからじゃないのか」
「違うに決まってるじゃない! 色々詮索してくる男はモテないんだからね!」

 そう言ってやると、首を傾げるレーゼ。

「なに考えてんのよ」

 くすっと笑って——せせら笑いだけどね——レーゼが答える。

「何故私はこのような女子(おなご)を好きになったんだろうか? わからぬな」
「うっわぁ、ひどい! ってかなんで好きになるのよ! いっとくけど、私、幼女体型——背高いけど——+最近太ってきてるんだからね!」
「あぁ、ここか」

 ぷにぷにと私の脹脛の肉を抓るレーゼ。
 顔つきと声は可愛らしいけど、やってることは許せない!
 右足でレーゼを蹴ろうとする。左に転がって私を避けるレーゼ。

「もし私が穿いていたのがスカートだったら、ぜったいセクハラの罪とかで控訴してやるんだから!」
「お前の穿いているパンツなどに興味はないし、お前にスカートが似合うとは思えぬ」
「お黙り!」

 今度は左足を使ったけど、今度は右に転がって避けられた。
 くっそぉ、言いたい放題しやがって!
 
「スカートが似合わないってことは認めるわ。でも、直接口にだすなんてっ! さいってー! むしろあんたの方がスカート似合ってるわよ、この宇宙人!」
「何故私はこのような女子を好きになったんだろうか? わからぬな。口も手足も乱暴なら、スカートも似合わずすぐ怒る。世も末だな」
「にぎゃ————っ!」

 怒りの雄叫びを上げて拳を突き出した瞬間、腕をつかまれた。
 うっ、ヤバイ。

「さて、風丸一郎太の家を破壊しにいこうか」
「あっ! だめ!」
「私を止めたいか?」

 冷静な声で言うレーゼ。口元には勝利を確信した笑み。

「なら、生贄をさしだせ」
「さ、探しにいきなさいよ! ディアムとかクリプトとかマキとか、可愛いこならいっぱいいるでしょ? もっともマキはカゲトに許されないと思うけど!」

 にやりと、レーゼの笑みが広がっていく。
 ちっ、ちかい。

「何故私はこのような女子を好きになったんだろうか? わからぬいな。口も手も足も乱暴で、スカートも似合わずすぐ怒り、頭もいいとはいえないのにな」
「ひどっ。あんたね、人を尊重するってことを——」
「不思議だな。私は、このような野蛮な、〝黒田エリ〟と言う女子しか、生贄にする気がしないのだよ」

 頭が真っ白になって、覚えていたのは、レーゼの唇の柔らかさだけだった。

 *
 私は、〝黒田エリ〟と言う女子しか、生贄にする気がしないのだよ。
 *