二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.47 )
日時: 2010/09/10 17:50
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: SDyLiy9K)


 第二十二話 名字を隠した少女

 *
  名字は不明。本人が隠したいらしい
 * 


「ねえ、聞いた聞いた?」
「テニス部にさ、すっごい子がきたんだってー」
「すごいって?」
「三年生の先輩に失点なしで勝てたんだって!」
「うっそぉ〜、マジで?」

 朝の教室は五月蝿い。
 昨日、一年に転校生が来たらしく、噂になっている。
 名前は「澪」。名字は不明。本人が隠したいらしい。

「ってことはさぁ、親が有名人とか前科ありの人じゃない〜?」
「あぁ、それありかもぉ!」

 黒田エリは、三人の女生徒が喋っているのを見て、眉を顰めた。
 彼女は耳と鼻がよく、五月蝿いことが苦手で、食べ物なら嗅いだだけで自分が好きかどうか判別できる。好き嫌いが多い彼女にとってはかなり便利だ。
 そしてエリは、女子たちといるのが苦手で、女の子の友達は極端に少なく、このクラスでも二、三人ぐらいだけ。
 エリは何故女子といるのが苦手なのか、というのは彼女に言わせると、
 「お喋り、批判好き、五月蝿い。そうなったらいやだから離れている」らしい。
 エリは、全ての女子がそのような性格ではないということを綺麗に忘れている。
 
「あっ、黒田さん。今日は早いねぇ」

 たしか熊野だっただろうか、がそういったので、エリはざくっと矢に刺されたような顔をした。——エリは、このクラスでの、女子遅刻率ナンバー1だ。因みに男子は円堂。
 
「あれ、たしか黒田さんって卓球とサッカー得意だったよね?」
「あぁ……得意、かなぁ?」
「ねぇねぇ聞いた、黒田さん?」
「えーっと、澪さんのこと?」
「チガウチガウ! 風丸君、二見さんと付き合い始めたんだよぉ〜!」
「ショックだよねぇ。二見さんおしとやかで、女の私までほれちゃいそうなほど美人だから、わかるけどさぁ」

 口々にしゃべる女子。エリは溜息をついた。
 
 休み時間、エリは噂の「澪」に出会った。
 黒く長い髪の毛をツインテールにして、細い切れ長の瞳をしてた。
 ウェーブしたツインテール、すっと高い鼻を見て、エリはなにかを思い出したように感じた。
 しかし、それがなにかはわからなかった。
 
 ——その次の日だった。
 ——「澪」が、サッカー部に訪れた。

 *
 どうして私は、大切なことばかり忘れるんだろうね?
 *