二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.53 )
- 日時: 2010/09/12 16:25
- 名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: kHVzf1bX)
第二十六話 ツンデレなポニテ二人
*
一個、貸し。かえせよな
*
俺はなんとなく、若田のことを避けていた。
理由はわからない。なんか覚えてないけど、若田の所為で元上司の四人にからかわれたのは覚えている。
だから避けてた、なんとなく怖かった。
で、俺は何日か前、若田に本を貸していた。
そして若田が返却しにきたのだ。
俺はちょうど窓辺にいた、エリちゃんが窓辺にいたから、なんとなく傍までいった。
「あ、この本面白かったよ。返すね」
うぐっ。
あとずさって、上半身が窓からでる。
慌てて手で窓枠を掴む。
「やだなぁ、そんなに驚かなくてもいいのに」
そう言って、若田は本で軽く俺をたたく。
次の瞬間、エリちゃんの悲鳴だけが俺の耳に響いていた。
驚いた顔の若田がこちらをじっと見つめていた。
その若田と悲鳴をあげたエリちゃんの顔がなんか遠ざかっていくみたいだった。
気付くと俺の両手は窓枠を掴んでいなかった。
足は床を踏んでいなかった。
重力が俺を地面へとたぐりよせる。
せめて目を閉じて死にたい、そんなバカバカしいことを考えて目をつむる。
どさっとどこかへ着地した。
どこへ落ちたんだろうか、地面にしては柔らかすぎるし不安定すぎる。
雲の上か、ああ、天国の入り口か。ならちょうどいいだろう。
目をあけたらアフロディに似たやつが立ってるんだろうなあなんて滑稽なことを考える。
もしアフロディじゃなけりゃ、デザームやグランやバーンやガゼル似の閻魔王と悪魔だろう。
派手な衣装をきたデザームや悪魔の服をきたグラン、バーン、ガゼルを想像する。
思わずふきだす。それならきっと面白いに違いない。
よし、誰がいるのか、その顔を拝見させてもらおうじゃないか。
見たのが自分の死体と半分透けて足のない自分の幽霊じゃなきゃいい、と思いながら目を開ける。
見たのは自分の死体でも幽霊でも、アフロディでもデザームでもグランでもバーンでもガゼルでもなく、
風丸一郎太だった。
うわぁ、こいつも死んだのか。
どーゆー死に方したんだろ、と思いながら空を仰ぐ。
で、見たのが心配そうな顔の若田とエリちゃんって、え?
俺、生きてる?
まさか生きてる?
気付くと、俺は風丸にお姫様抱っこされていた。
まじかよ。
風丸が助けてくれたらしい。
昔、風丸の家を破壊しようとかエリちゃんにいった気がするけれど、たぶんそれは夢の話だと思う。
感謝の気持ちと共に恥かしさも上ってきた。
だってお姫様だっこ。
恥かしい恥かしい恥かしい。
しかも風丸に、
「お前って本当に女の子っぽいよな。こうして抱いてると見分けつかない」
って言われた……!
イナズマジャパンのポニテその2に言われたくない!!
あんたのほうが女装似合うよ、このアホ!
「なんで助けたんだよ、このポニテやろうめ」
なにこれ。
所謂ツンデレってやつ?
「いや、お前もポニテやろうだから。別にお前のこと助けたかったわけじゃない、そのまま放っておいてもよかったんだが、」
言葉を濁す風丸。
「お前が傷ついたり死んだりしてエリに悲しまれたり、たぶんしないけど泣かれたりされても困る、ってかたぶん若田のことを恨むかもしれん、だから助けてやっただけだ。兎に角、一個、貸し。かえせよな」
ふわりと、なんだか優しい気持ちになる。
助けてくれてありがとう。
そう言いたかったんだけど、恥かしくって、俺はこんなこと言ってた。
「エリちゃんをかえせって言われても、無理だからね。あと、助けてもらったからって、手加減なんかしないから」
にやりと不敵な笑みを浮かべる風丸。
「こっちだって、手加減はしない。その挑戦、受けてたつ」
お姫様だっこしているポニテとされているポニテのにらみ合いって、変かな?
「地球にはこんな言葉がある」
「ほぉ。どんな言葉だ?」
*
猫は三年の恩を三日で忘れる——でも、俺は三秒で忘れるからね。
*