二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.54 )
- 日時: 2010/09/12 19:58
- 名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: kHVzf1bX)
第二十七話 澪の挑戦
*
テレビに映っていたのは、瓦礫と化した世宇子中だった。
*
私とカゲトは、反射的にマキちゃんとリュウジくんを見た。
慌てて頭を横に振り、否定する二人。
「まだ、アフロディ見つかってないみたいね」
と、私はぽそりと呟いた。
他三人はアフロディのこと知らないので無視。
なんなのこいつら! 冷たすぎるって!
人が瓦礫の下にいるのにどうとも思わないのか!?
そんな時、電話が鳴った。
「はい、もしもし黒田! 緑川、闇野、皇のどちらか一匹にようがあるのなら……『大変だぁっ! アフロディがぁあああっ! ナルシスって名前変えたほうが良い奴がぁぁぁっ!』
この声は確か……。
「チューリップ効果音!?」
頭に真っ赤なチューリップが咲いてて、確かエイリア名効果音のやつ、本名なんだっけ?
リュウジくんが反応して、私の耳元で、南雲だよ、と囁く。
ってか近いよ。調子のんな。
手で顔を押して押しのける。ぐすん、と鼻を鳴らすリュウジくんに構わず、続けて話す。
「チューリップも効果音も余計だ!」
「で? なんの用なの、南雲」
『いやなお前もニュース見たろアフロディがぁあああぁあっ!』
『落ち着け晴矢。……で、私達はアフロディを救出しようと計画しているが、念のため、たぶんそっちにいるであろうリュウジとマキに聞いてくれ。まあ聞いても正直に言うとは思えないが』
「二人とも違うってさ。あと、マキちゃん疑わないほうがいいよ。カゲトに殺されるから」
『……そうか、やめておこう』
流石ええっと、あの超次元寝癖やろうは誰だっけ。
今度はリュウジくんに後ろから抱きつかれた。
またもや耳元で涼野だよ、と囁くリュウジ。
足裏でリュウジくんを蹴り飛ばす。
ぐえっと奇妙な声をあげて地面にころがり、ぐすん、とまたもや鼻を鳴らすリュウジくん。
気にしない、気にしない!
「で、アフロディを救出計画ってどうやるのよ。私女の子よ、そんなに力はな、『お前のような怪力女ならできそうだなぁと思っているからな』
「なんですってぇ!」
『冗談だ。さっき蹴られたような殴られたような声を出したリュウジに言っておけ。あとカゲトとやらの過保護を受けているマキにも、カゲトにも。明日集まれとな。治とヒロトにはこちらから連絡しておくから安心しろ……? ちょとまて。今変な動画が送られてきた。そっちのパソコンに送るからメルアド言え』
電話を切った後、私達四人はパソコンに群がった。
瓦礫の上に腰を下ろし、ボールを持った少女。
風に揺れる黒い髪はウェーブしている。
くるくるっとボールを回し、にやりと笑う。
「——澪」
リュウジくんが、青ざめた顔で呟いた。
そう——澪。テニス部の天才と謳われた少女。
リュウジくんが、私の服の裾を掴む。
黒くて可愛らしい目は大きく見開かれ、冷汗が出ている。
青ざめた顔と唇、微かに震える体。
澪は一体、リュウジくんになにをしたのだろう。
リュウジくんの頭を撫でながら、パソコンの画面をみた。
『始めまして。影山澪です』
かげ、やま……?
帝国学園サッカー部の監督で、今は寝ているミリ姉の友達、フィディオのチームの監督だとか。
勝つためには手段を選ばぬ狡猾さを持つって言われてる。
鬼道や不動、佐久間とは認識があるはずだ。
でも、確か何年か前に、人体を改造する「神のアクア」とか言う毒を世宇子のサッカー部の子ども達に飲ませて逮捕されて……?
あれっ、破壊されたのが世宇子じゃない。
『お目にかかれて光栄ですわ。前はテニスの方が好きでしたけど、サッカーもおもしろいですわね』
冷笑を浮かべる澪。
レーゼの冷笑とはまた違う冷たさをもっている。
澪ちゃんは美少女だ。
そんな美少女の、鳥肌をたたせるような冷笑は、正直、怖い。
『——だって、サッカーさえあれば、学校を瓦礫にしたりすることくらい簡単ですものね。殺人だってできるでしょうね』
これ、円堂に聞かせないほうがいいな。カゲトがぼそっと呟いた。
確かに。言ったらぶっちぎれて暴走してしまうだろうからな。
『エイリア学園のしていた「おあそび」かなり面白いですわ』
「おあそびぃ!?」
マキちゃんとリュウジくんが素っ頓狂な声をあげる。
『私も、その「おあそび」とやらをやってみたいんですの。次の標的は——』
次の標的?
おあそび?
ばっかじゃない?
二度とあんたの好きなようにはさせないよ。
リュウジくんになにをしたのかは知らないけど。
好き勝手はさせないんだから。
『——雷門』
なっ!
雷門は最近レーゼにぶっ壊されたばかりなのよ!?
またそこを壊そうというの!?
私がそんなこと許すわけないんだからね!
もとブロッサム・クイーンのキャプテン、黒田エリの名をかけて、絶対に止めてやる。
闘魂が燃え上がる。
「ぅ……ぁ」
瓦礫の下からようやく見つかったアフロディは、虫の息だった。
中に長い間閉じ込められていたため、歩けなくなっていた。
綺麗な顔も傷だらけで、制服には乾いた血がこびり付く。
長い金髪はぐしゃぐしゃで、無残としか言いようがない。
埃塗れになったアフロディをなんとか担架に乗せる南雲と涼野。
「じゃあ俺たちアフロディに付き添うわ」
「後は任せたぞ」
こくりと黙って頷く私、ヒロト、砂木沼、リュウジくん、マキちゃん、カゲト、そして私が呼び出した風丸、不動、吹雪、佐久間、三浦。
私は素早く十一人の人間を呼び寄せ、澪に対抗することにした。
チームも学校もバラバラな十一人。これで勝てるかどうか不安だ。
でも、私はそんなこと心配しない。
だって私はおそろしい程ポジティブなんだもの。
ポジティブさ前回にするぜ!
*
ポジティブ、それがとりえだ!
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