二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.73 )
日時: 2010/09/19 19:22
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: geHdv8JL)


 第三十八話 刃のお姉さん

 *
 恋する乙女はトラブルメーカー。
 *

「オイ刃!」

 女の子にしては、よく響く声だ。
 ぼんやりとそんなことを考えて、えっ、と気付いた。
 あの声、まさかっ!
 振り返る。
 黒い髪の毛を三つ編みにした少女が立っている。
 白い服に黒い帯——柔道の達人、我が姉貴が立っていた。

「白刃姉さん……」

 若田が目をまるくして俺たち二人を交互に見る。

「お姉さんだって!?」
「剣寺(つるぎでら)の名を捨てるとはどういうことだ!?」
「つるぎでら……?」

 ずんずんと歩み寄る白刃姉さん。
 彼女の名前は剣寺白刃。オレの姉。
 オレの本名は剣寺刃だ。
 オレの家は——柔道の道場。
 それもかなり有名で、サッカーにしたら昔の帝国か今の雷門みたいな地位を持っている。 でも、オレは別にここを継ぎたくない。
 だから、家出した。切先刃と、名字を変えて。
 自分でつけた名前、と言っていたのは、色々聞かれたくなかったからだ。

「帰るぞ」

 白刃姉さんはオレの襟首を掴むと引きずった。
 否定を許さない声。
 オレが頭が上がらない相手——それが彼女と父さんと母さんと鬼道と音無さん。
 突然、白刃姉さんが立ち止まった。
 チャンスとばかりに立ち上がる。白刃姉さんはつったったままだ。
 ん……音無さん!? に、鬼道!?
 白刃姉さんがオレをつついた。

「おい」
「なんだよ」
「紹介しろ」
「へ? あぁ、音無さ——「女じゃない男のほうだ」
「え。うんまあいいや、鬼道、彼女はオレの姉、白刃だ」
「鬼道有人です。こっちが妹の春奈。よろしくおねがいします」
「よろしくおねがいします」

 律儀に頭をさげる姉貴。
 し、らは。
 お前まさかな……。
 明るい声で宣言する姉貴。

 *
 オレ、今日から雷門いく!!
 *