二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.78 )
日時: 2010/09/21 18:03
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: .ys/4ZzH)


 第四十一話 中秋節

 *
 明日はお休み! ……だといいな
 *

「はい、おかゆつくったよリュウジくん」

 布団を蹴飛ばしたリュウジくんの近くへセンプウキを持ってくる。
 うぅん、と唸って私がつくったおかゆを一瞥する。
 それからにたぁ、と笑みを浮かべた。

「口移しなら食べてあげる」

 ぱぁーん! と乾いた実に聞こえのいい音がする。
 私のビンタと改、一郎太の拳が炸裂したのだ。
 真っ赤になった頬を押えて泣きそうな顔をするリュウジくん、クスクス笑う広夢とヒロト。

「百年早い」
「なに考えてんのよ、ばかっ」

 一郎太と改が同時に言い、私が顔を真っ赤に染めて怒鳴る。
 それからしぶしぶといったかんじでおかゆを奪い取るとぱくっぱくっと食べた。
 その後唇を尖らせて、ちっちゃい目で私を睨む。
 おいおい、なんで私がにらまれなきゃならんのだ。

「ま、今日はゆっくり休んだら。明日お休みなんだし」
「えぇ!? 明日お休み!?」

 驚く私以外の全員。

「だって中秋節でしょ?」

 中秋節は楽しい。
 中秋節のイベントはなんと言っても月見に焼肉。
 ムーンケーキは餡子入りだから納豆以外の豆類が苦手な私は食べないけど、でも、カゲトが小さい頃食べたとき美味しいって笑ってたの覚えてる。

「え。あ、中秋節かぁ、ふぅん」
「うん、月に飛んだ嫁さんとかの話が有名だよ」
「そういや中国には月の話が沢山あるよな。台湾にも中国から伝わったやつが」

 あ、そうそう。
 昔々、太陽が八つあり、交代で出てきたんだけどある日自分の出番がないと騒ぎ出して同時に出てきた。
 で、そんなとき、ある男が矢で太陽を七つ打ち落としました。
 綺麗な女の人を嫁にして、王様になり、堕落に暮らしました。
 で、今度は月の上の兎がつくった霊薬を使って不老不死になろうとした。
 いまや暴君と化した彼が不老不死になってしまっては大変だーと思った嫁さんは霊薬を二つ飲みました。
 一つ飲むと不老不死になり、二つ飲むと体が軽くなりすぎて飛べるのです。
 で、嫁さんは月までとんでったとさ、めでたぁしめでたし。

「……これ、本当の話じゃないよな」
「ええ、天文学もしくは歴史の授業で昔太陽が八つあってそれを矢で打ち落とした人がいて不老不死になって空に飛んだ嫁さんがいるなんて言って見なさい。絶対呼び出しかかるわよ。ってかカゲトは言うな。呼び出されるのは私だから」

 こんな話、信じられるわけないと思うし、兎はやっぱ霊薬よりもちをついていたほうが可愛いと思う。
 ふぅ、っと溜息をついて、この間近所のおばはんから貰ったムーンケーキを取り出した。
 なんで月の形してないのにムーンケーキなんだろ、これ。
 そんなくだらない事を考えた火曜日。 


 *
 ——そんなこんなで、水曜日、私達は学校に行きませんでした。
 *


 〜あとがき〜
 中秋節羨ましい……中国と台湾はゴールデンウィークはないけど中秋節お休み、+おおみそか前から元旦以降何日かまでの一週間もお休みらしいです。