二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.86 )
日時: 2010/09/26 16:47
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: .IvyTHZz)


 第四十六話

 *
 ねーねー、白い魔法の箱つけようよ〜
 *

 エリちゃんの発言に、みんなが、は? と言う表情になった。
 それは俺だって同じだ。なんなんだ白い魔法の箱って。
 あ、つけたすと皆が皆驚いたんじゃなくて、改とカゲトは全然驚かなかった。
 ……でも箱って普通「つける」じゃなくて「開ける」だよね?

「あのさエリ」

 大体なんで風丸がここにいるんだよ。理不尽。納得できません。
 風丸は続ける。

「白い魔法の箱って、なに?」

 恐る恐るといった感じで聞く風丸。
 もしこれが常識で自分が知らなかったら恥かしいなんて考えているんだろうと思ったら笑えてきた。 
 でも俺も知らないんだよね、白い魔法の箱がなにか。
 いやこれほんっとーにもし常識だったら?
 俺ってお日さま園育ちだから非常識だったりして? 世間知らずだったりして?
 うぐ、マキも知らないみたいだし……。
 
「え? クーラーのことだけど?」

 無邪気な笑みを浮かべるエリちゃん。時間が止まったように思えた。
 英単語をぶつぶつと何回も繰り返して覚えようとしている改、ポテトチップスを齧りつつ算数のドリルにすらすらとペンを走らせるカゲト以外は石化して、はてなを頭の上で回転させていた——恐らく俺も。
 
「ちょ……クーラー!?」

 ショックから一番早く立ち直った風丸は叫んで目をまん丸にした。
 うんそうだけど、とにこっと笑みを浮かべつつ、リモコンを持つエリちゃん。
 それから白い魔法の箱、始動! と言いながら青いボタンを押す。
 窓を閉じ、カーテンを閉め、ドアも閉じるエリちゃん。
 その素早さときたら恐らくジェネシスでさえ追いつけないだろう。
 
「くるねこ大和って知ってる?」

 くるねこやまと? 俺の頭の上で、再びはてなが旋回する。

「猫の話を綴ったブログなんだけどね、それがもう面白くて。
 その中にもんさんって猫が出てくるの。そのもんさんがね、クーラーだったっけヒーターだったっけ? をつけたときに、『これは夢? それとも魔法?』っていってたの。
 それが面白くて私、クーラーにことを白い魔法の箱って呼ぶようになったんだ」

 半分呆れながら、エリちゃんを見つめる。
 エリちゃんのことがわかってよかったんだよね、たぶん。

 
 *
 それ以来、俺もクーラーのことを白い魔法の箱と呼ぶようになりましたとさ。
 *