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短編　　フィディオ


『流れないナミダは』


※ヒロインフィディオと恋仲設定。



「別れたい？」


突然前を歩いていた君は振り向いて私にこう言った。「別れたい？」って。

“別れ”という言葉がその時私の頭の中でエコーしたような気がする。


初恋。初めての恋だから。初めての両思いだから。そして、初めての彼氏だから、絶対に君を離したくなくて。とても丁寧で。たまにとっても恥ずかしくなって。


“恋は甘酸っぱい”っていうけど、その酸っぱい部分がどことなくとても嫌で。


そんな私に君は言った。「別れたい？」ってね。


あまりにも突然、そして辛い出来事に、声が出ず、持っていたバックをコンクリートに地面に落とし、・・・涙までも出ず、その場に立ち尽くしていた。


「サクラ、別れたいの？・・・俺と。」


『えっ・・・。い、嫌！！私は、そんなの、絶対に・・・絶対に嫌！！』


その瞬間、止まっていたもの全部が動き出した。

涙は止まらない勢いで出てきて、声も元通り。だけど、逆に、心に罅が入った感じがした。





怖かった。





このまま捨てられるんじゃないか。





だけど君は、また微笑み、前を向いて、こういった。


「そうか、良かった。」


初恋・・・。その全部を傷つけたくなくて。でもとても扱い方が難しくて。落としたらすぐに割れてしまう、ガラスのようで。

＊＊＊
切ない・・・のか？
一応フィディオ。