二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 狼がペットの赤頭巾*イナイレ*〜アニメ沿い連載中〜  ( No.534 )
日時: 2010/12/18 08:41
名前: さくら (ID: sNU/fhM0)

フィディオは私を姫抱きにし、マーク達に“行って来る”といった後、物凄い速さで走り始めた。

フィディオと私の体が、風を切る。


『フィ、フィディオッ! 皆見てるよ・・・。』

「見せ付けてやれば良いだろ? それに俺はこっちの方が良い。」


その口の割には、姫抱きの仕方がとても優しくて。力は入ってるけど、第一に私の事を考えていてくれて。

フィディオはいつもそうだった。小さいときから、ずっと。

たまに生意気で我侭になるときもあるけど、本当はとっても優しい。そんなフィディオが大好きだった。一人の男の子として、好きだった。


『フィディオ、・・・大好き。』



耳元でそう囁くと、フィディオは眩しい笑みを見せながら、“俺も好きだよ”と言ってくれた。


たわいも無い声が、大きな空に響いた。
そんな事を言っていると、もう会場に着いていた。


『フィディオ、流石。・・・もう着いた。』

「んじゃあ俺は此処で。俺もいい加減戻らないと怒鳴られるからさ、」

『また歩いて帰るの?』

「あぁ。俺はサクラを送ってきただけだから。」



『ありがとう。』


するとフィディオは微笑み、私の耳元に顔を寄せ、・・・



「可愛い。惚れ直す位。」



と、少しも赤面せずに言って見せた。

そしてフィディオは“じゃあね、”と手を振り、夕焼けの中を走っていった。


『・・・・・・・・・・・馬鹿。』


そう呟き、会場に足を踏み入れると、目にしたのは、イギリス代表のキャプテン、エドガー・バルチナスが円堂の格好を見て、鼻で笑っていた。


『何よ、あいつ。』


と、小さく囁く間もなく、話はどんどん進んでいった。



「いや、失礼。あまりにも似合っていたものだから」



「ちょっと待ってください。今のはうちのキャプテンに失礼じゃないですか?」



「はははっ。困るな、誤解してもらっては。私は褒めたんですよ?」



「褒めたァ?」



「えぇ。だから言ったじゃないですか。似合っ『“似合ってる”とでも言うのですか?』・・・!!」


カツ、カツ、カツ———……。


「あれは、まさかサクラ様では御座いません事?」

「サクラ様よ!! 何故此処にいらっしゃるの・・・!?」


周りからは、会場に来ていた女性の人達からの声。でも、そんな事、私の耳には入らない。



『・・・・・・・・』



カツ、カツ、カツ———……。


私が無言、周りの客も無言の為、私の足音だけが会場に響き渡る。

無言でその人に近寄り、右手をスッ・・・と出すと・・・


バシッ———!!


「・・・ッ!!」


平手打ちをお見舞いしてやった。そして私の顔をぐっとその人の顔に近づけ、


『あら失礼。つい手が出てしまいましたわ。』


と、耳元で精一杯の気持ちを込めながら言った。


「・・・、ど、どうやら貴女にはマナーというものが足りないと思いますね。これならサッカーも・・・」


最後の言葉も聞き終らないうちに私はまた次の厳しい言葉をお見舞いしようとした。


『あら、そんな事言いますけど、貴方が私に勝てるとでも?いくら貴方でも・・・「辞めろサクラ!!」・・・円堂、』


「俺達はサッカーをやりに来たんだ。そうだろ?」



『だって・・・!!』


「キャプテンを馬鹿にされて黙っていられないでやんす!!」



「ならその思いはグラウンドでぶつければいい」



「ってことだ。楽しみにしてな、こてんぱんにやっつけてやるからよ」



染岡君がそう言うと男の人は鼻で笑う。勝った、とでも言うように。



「最初はそちらの礼儀を知らない女性とやるつもりでしたが・・・まぁ日本の選手は誰だって同じです。・・・今、やってみますか? 今此処で。」


「「「!」」」


「私のシュートが君に止められるか…嫌とは言わないですよね。」


「……いいだろう、受けて立つ!」


『円堂・・・!!』

***
今日は久しぶりに長く書いたwww