二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.131 )
- 日時: 2010/12/30 15:06
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: nF4l3yrg)
「へぶしゅっ」
マルヴィナ、九回目のクシャミ。
「・・・どうでもいいけど、さっきから何? その珍妙なクシャミは・・・」
「ほっとけ」
——ところはクロエばあさんの家。
頭からつま先までずぶ濡れのマルヴィナは、クロエの用意してくれた『ココア』と言うらしい
黒くて熱い飲み物をもらっていた。
「・・・・・・・・・・」
「大丈夫? ああ、砂糖はお好みでね」
「・・・・は、はひ・・・」
「どうしたのマルヴィナ? 苦かった?」
「・・・・・・・・・・・・・さ、砂糖はもともと苦手なんだが・・・も、もらおうかな・・・」
苦かったらしい。
着ていた服は、ソナが干してくれた。ちなみに、落ちたマルヴィナを見つけてくれたのも彼女である。
そして、ソナの娘の服をわざわざくれた。
・・・当然着替え中は、シェナがほとんど命令してクロエの旦那含む男共を外に追い出したが。
マルヴィナがココアに口をつけたまま十回目のクシャミをしてしまい、
ココアがこぼれかけたのを慌てて防いだのと同じころ、閉め出された男3人組は、ぼんやり川の流れをながめる。
「ソナちゃんの歌声は最高さね。だがクロエと一緒に歌えば誰にも負けん」
「・・・マルヴィナも、歌はうまいよなぁ。他の家事全般はビミョーだけど」
「ははっ、でも、それが出来たら出来たで、妙な感じだろうね」
「つぅか、不気味だ」
今ここにマルヴィナがいたら、確実に川に突き落とされている。
クロエの旦那は、用事があると言って教会のほうへ歩いていった。キルガが話を続ける。
「・・・他の女守護天使たちは、どちらかと言うと・・・手伝い方面の仕事をこなしていた。
マルヴィナは違う、住民たちを体を張って、命までもかけて守りぬく性格だ。
守護天使の本来の仕事をこなしている——戦いの方向で」
「・・・・・俺もさ。もしなれたら・・・そのつもりだった。人間が危害に遭う前に、敵とかはすっぱり倒すつもりで。
だから、こんな今・・・俺は本当は、すべてを攻めにかける闘士・・・バトルマスターになりたいんだよな」
「僕は、倒す・・・というより、守り、受け流すほうだったな。だから人間界に落ちた時、
聖騎士団に入らされ・・・いや、入ったんだ」
「・・・入った、って・・・んじゃ何で今、ここにいるんだ? すぐやめたのか・・・なわけないか。そんな奴じゃないな」
「それはどうも。・・・聖騎士団は、グビアナという名の城に修道院を構えている。
ただ、その城の女王から給付金が送られなくなってね。苦しい状況になって・・・
僕が一番新顔だったから、有無を言わさず辞めさせられた」
「そ、そうだったのか・・・それは・・・」
同情は結構、というようにキルガは手で制す。戦士セリアスは、天を仰ぎ、考え込んだ。
家の扉が開き、シェナが顔を出す。もういいよー、という声がした。
入っていい、という意味なのだろうか、と考えていると、服装の変わったマルヴィナが出てくる。
「わらべ歌、聴かせてもらってきたよ」
どうやら、いい、というのは用事が終わったから行くよという意味らしかった。