二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 ( No.213 )
- 日時: 2011/01/31 20:11
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: PdKBVByY)
——エリザは昇天した。ルーフィンに、自分の想いを伝えられたから。
ルーフィンがベクセリアの町で幸せとなることを望んだ天真爛漫な女性は、最後まで笑っていた・・・
——翌日。
昼あたりに、マルヴィナたち四人はサンディ・キックにより蹴り起こされた。
「ついに! ついにつーいにやってくれたネ! 星のオーラ、たっぷりあんたのフードに入れたヨ!
これで、ぜぇぇぇったい戻るハズ! ほらほら、ダッシュで戻る! 戻る!」
かなりの勢いでまくしたてたサンディに、まずセリアスが一言、
「う・・・サンディ、静かにしてくれ・・・昨日は遅かったんだ・・・」
と、大あくび。
「いかどーぶん・・・」
シェナも言い、
「右に同じ・・・」
キルガまで言い、
「・・・・・・・・・・」
マルヴィナは何も言わなかった。立ち寝していた。
サンディの予想はついに当たる。
かれこれ数日かけて徒歩で峠の道に戻った後、休むことも許されずマルヴィナたちが
箱舟に乗った(乗らされた)瞬間、黄金の舟はしっかりと反応を見せた。エンジン全開、と言わんばかりに。
「おぉっ、すげぇ! これで、帰れるんだな? 帰れるんだな天使界に!」
なぜか元気なセリアスに、サンディ一言、
「えー、セリアスは置いてこーと思ったんですケド」
「・・・笑えねーぞ」
「ウケ狙ってないしー」
キルガが横で笑った。・・・そして、気付く。
「・・・シェナ?」
・・・シェナだけが乗っていないことに。一人、立ったままである。
「シェナ? 来ないの?」
マルヴィナがそんなわけないと思いつつ、あえて言う。だが、その答えは、肯定だった。
「・・・私は・・・天使界には、戻れない」
えっ、と、驚きを表す言葉が三重になって聞こえた。
「・・・私は、セントシュタインに戻るわ。ごめんなさい。——またどこかで」
シェナは、そう言って——走る。追って来られるのを、拒絶するように。
「・・・何で・・・? シェナ・・・・・?」
まさかの、あるいはいきなりの展開に、マルヴィナは立ち尽くした。
それから、しばらくの時間がたつ。
ピッ ピポパッ ピッ がしゅ、 ピポペパッ ピッ
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ピッポッ ペパポッ ウィーン がしゅん ピッ ピッ
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。サンディ・・・・・」
ピポ パッ ピプッ パペッ ウィィーン ポッ ペッ
「あー、確か、こここここ・・・ココをこーして、こーして、こーしてたっけ?」
「知らんわ」
「聞ーてないし」
「んじゃ聞くなよ」
「だから聞いてないし!!」
ピコッ
「おっ!?」
箱舟が、宙に浮いた。
「ようやく当たりのボタンを押したか・・・」とマルヴィナ、
「長いぞ・・・」とセリアス、
「本当に運転士か?」とキルガ、
「あー、ソコ三人。ブツブツうるさい。アタシはバイト! ちゃんとテンチョーがいるっスよ」
・・・というサンデイの言葉に、全員沈黙。しかしすぐに、
「バイトかよっ!」
というマルヴィナの声でその空気は散った。
「別にいーじゃん。運転できるんだし」
方向性の微妙に違うことを言って、サンディはボタンをピッ、と押した。
「うっわわわっっ」
箱舟が、がくん、と揺れ——景色が動いていく・・・天の箱舟が、動き出した!
「動いた!」
「へぇ・・・一応できるんだな」
「ヨケーなお世話っ。——んじゃまぁ、道草食いまくったことだし、一気に行くよ。天使界向けて、レェェッツ・ゴーッ!」
天の箱舟は、青空を裂いて上ってゆく。
懐かしの故郷へ。
待ち望んだ、空の上へ。
【 Ⅳ 封印 】——完結。